研究課題
基盤研究(C)
近位尿細管管腔側のナトリウム依存性酸塩基輸送はNHE3が主に担っているとされていたが疑問も呈されていた。本研究では単離近位尿細管で酸塩基輸送を解析した。NHE阻害剤EIPAにより酸塩基輸送は10-50%抑制しか抑制されなかったが、DIDSにより30-50%、EIPA、DIDSの同時添加で80%以上が抑制された。近年DIDS感受性のNBCn2の近位尿細管への発現が報告されていた。NBCn2に対するsiRNAにより近位尿細管管腔側の酸塩基輸送は約50%抑制され、免疫組織染色によりNBCn2の発現を確認した。これらから近位尿細管管腔側にNBCn2が発現し、酸塩基輸送に関与している可能性が示された。
本研究では主にNa/H交換輸送体(NHE)3が司るとされてきた近位尿細管管腔側のナトリウム依存性酸塩基輸送がNHE3だけでなくNa-HCO3共輸送体NBCn2により行われていることを示すことができた。ナトリウムは血液中の主要な電解質であり、血圧のコントロールに重要な役割を果たしている。一方、近位尿細管は糸球体で濾過されたナトリウムの約80%を再吸収しており、今後血圧調節のメカニズム解明や新たな降圧剤開発に貢献できる可能性がある。
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