研究課題
基盤研究(C)
本研究では、アトピー性皮膚炎等のアレルギー性皮膚疾患が同じ部位で再発・寛解を繰り返す原因について、マウスの皮膚炎モデルを用い研究を行った。炎症が治癒した皮膚には、これまでに知られていたキラーT細胞に加え、大量のヘルパーT細胞が記憶T細胞として真皮に残存することを見出した。これらの記憶T細胞は各々単独で「皮膚局所の免疫記憶」を形成し、アレルゲンへの反応性を局所的に増加させた。さらに、記憶キラーT細胞は1年以内に炎症を経験した皮膚から消失したのに対し、記憶ヘルパーT細胞は維持され続けた。よって、炎症を経験した皮膚に留まり続ける記憶ヘルパーT細胞が、皮膚疾患の再発の原因の一つである可能性が示された。
本研究から、炎症を経験した皮膚に形成される局所の免疫記憶は、皮膚に留まり続ける記憶ヘルパーT細胞が長期間維持することが分かった。よって、炎症性皮膚疾患の再発を根治するためには、患部から記憶ヘルパーT細胞を除去することで皮膚局所の免疫記憶を解消する必要があると示唆された。ステロイド剤の塗布等による治療では、症状が改善しても塗布を中止するとしばしば同じ部位で再発することから、既存の方法では皮膚局所の免疫記憶は除去できないと考えられる。今後、本研究の成果を元に、皮膚で記憶ヘルパーT細胞が維持される仕組みが明らかになり、その分子機構を標的とした皮膚疾患再発の根本治療法が開発されることが期待される。
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