研究課題
基盤研究(C)
健康人およびHLA-DP不適合移植を受けた患者末梢血より不適合HLA-DPに反応性のT細胞クローンの樹立を行った。健康人からはHLA-DPB1*09:01およびDPB1*02:01拘束性のクローンが、患者からはDPB1*09:01拘束性のクローンが複数種類樹立された。健康人から樹立したクローンは患者白血病芽球に対する反応が弱かったのに対し、患者由来クローンは強いIFN-γ産生と細胞傷害活性を示した。DPB1*09:01拘束性クローンのT細胞受容体遺伝子をレトロベクターに組み込んで遺伝子改変T細胞を作成したところ、抗原特異性は維持され、標的に対しサイトカインを産生することが明らかとなった。
本研究を通じて樹立されたT細胞クローンが認識するHLA-DPB1*09:01およびDPB1*02:01は日本人間の同種造血細胞移植で不適合が起こりやすいHLA-DP型を認識するものであった。難治性白血病患者がこれらのHLA-DP座が不適合のドナーより移植を受けた後に再発してしまった場合、今回樹立したクローンやそのT細胞受容体遺伝子を導入されたT細胞を患者に投与することで、再発した白血病に対して抗原特異的な養子免疫細胞療法となると期待される。今後さらに日本人に多い3種類程度のHLA-DP型に特異的なT細胞クローンを樹立することで、約7割程度の患者に免疫療法をすることが可能となると考えられる。
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