研究課題
基盤研究(C)
HTLV-1はレトロウイルスであるため、感染後にヒトゲノムに組み込まれる。ウイルス遺伝子の発現は組み込まれた周辺環境により影響を受けるが、プロウイルス配列内にもウイルス遺伝子の発現制御に関わる配列が存在することを我々は明らかにしてきた。本研究課題ではHTLV-1感染細胞株を用いて、プロウイルス内部のエンハンサー配列を同定した。この配列は患者検体でも保たれており、SRF とELK-1転写因子の局在が観察された。HTLV-1遺伝子の発現調節に着目し、HTLV-1 RNAの転写後調節におけるZAPタンパク質の役割を調べた。Capped RNAのRNAseq であるCAGEを行った結果、HTLV-1トランスクリプト転写後の分解が考えられた。ZAPがCG コンテンツの高いRNA転写物を認識し、分解を誘導することはこれまで報告されているが、実際、HTLV-1でも高いCG コンテンツが認められた。感染細胞株にZAPをターゲットにした siRNAを導入すると、ZAPの発現低下と共にHTLV-1 p19タンパク質が上清中に増加した。一方で、ZAPの強制発現実験ではp19の減少が観察された。この研究成果はRetrovirology誌に報告した。我々が以前に確立したサンプル濃縮法は、アルゼンチンを含む各国の無症候性キャリア、HAM / TSPおよびATL患者から分離された臨床サンプルのプロウイルス配列と組み込み部位の同時同定に有用であることを今回示した。HTLV-1の宿主ゲノムへの組み込みが、非感染細胞では見られない転写産物の新規発現を引き起こし、それが発癌に関与する可能性が考えられている。今回解析した30症例中、19症例でセンス鎖とアンチセンス鎖でウイルス-宿主のキメラ転写産物を検出した。また、臨床サンプルを用いたシングルセルレベルでのRNAseqも行った。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 7件) 備考 (1件)
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