研究課題
基盤研究(C)
栄養変化に対して、膵内分泌細胞がどのような挙動を示すかは不明な部分が多い。マウスに低炭水化物/高タンパク食(LC/HP食)を1-2週間負荷したところ、対照群に比し、血糖値に有意差を認めないが、①肝グリコーゲン含量低下、②血中グルカゴン増加・インスリン低下、③膵グルカゴン陽性α細胞量増加、④主に膵管周囲のα細胞塊とその近傍膵島周囲でのα細胞出現、を確認した。さらに、⑤肝求心性迷走神経切断術や膵内交感神経薬理学的遮断を行うと、α細胞集団出現と細胞量増加が完全に抑制された。すなわち、肝臓を起点とする神経ネットワークを介した新たな膵α細胞量制御機構が存在することが判明した。
今回の我々の研究により、比較的短期間のLC/HP食で誘導される、代謝臓器である肝臓を起点とする神経ネットワークを介した新たな膵α細胞量制御機構が存在することが判明した。さらに、膵管近傍細胞から分化・新生したα細胞は、交感神経系を介したα細胞新生・増殖であり、この様な報告は未だされておらず、これは“膵α細胞量の調節機構”を解明する上で貴重なモデルと考えられる。さらに、膵管結紮モデルでの観察より膵幹細胞は傍膵管のfocal areaに存在するといわれており、我々の観察はそれを裏付けている可能性がある。このモデルを解析することで、自律神経を介した新たな膵内分泌機能制御の解明が期待される。
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