研究課題
基盤研究(C)
Wolfram症候群(WFS)は厚生労働省指定難病疾患に指定され、若年発症インスリン依存性の糖尿病と視神経萎縮を特徴とする非常に稀な疾患であり、未だに確立された治療法はない。我々の施設ではその原因遺伝子(WFS1)を世界に先駆けて同定し、その後、国内外でWolfram症候群の研究が展開されているが、治療に結びつく根本的なメカニズムの解明には至っていない。今回我々は、WFSがインスリン分泌低下をきたすメカニズムとして、ATP2A2に着目した。ATPA2A2の活性化薬を用いると、インスリン分泌低下マウスにおいて、インスリン分泌促進作用を認めることを確認した。
現在までWFSは根本的な治療法のない、難病である。WFSは細胞に小胞体ストレスという負荷がかかることで細胞死に至ると言われている。今回同定したATP2A2活性化薬は、他施設では小胞体ストレスを改善する作用も報告されており、ATP2A2活性化薬はWFSのインスリン分泌作用のみならず、WFSの他の症状である視神経萎縮、難聴、精神障害などにも効果を発揮する可能性が期待できる。WFS1遺伝子の変異・多型は、一般的な2型糖尿病でも検出されるものであり、WFSの治療が可能になれば、2型糖尿病への新たな治療法にもなりうる研究となった。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件)
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