研究実績の概要 |
我々は、ラムシルマブ投与後早期の血中VEGF-Aが治療後の予後不良因子であること、また投与後早期のVEGF-Aは宿主由来である事を既報にて報告した。本研究の目的は、投与後早期の血中VEGF-Aと相関する血管新生関連SNPsを同定し、ラムシルマブ併用化学療法の治療効果予測に応用することである。 2021年7月から2023年4月末までに34例を登録し、2022年12月までに治療が実施された21例を解析した。VEGF-A値の測定はELISA法を、SNPsの解析はSNP arrayを用いて実施した。既報同様、ラムシルマブ投与後早期に全例で血中VEGF-Aは上昇した(中央値:pre 19.7 pg/ml, D8 423.9 pg/ml, p < 0.001)。カットオフ値456pg/mlで2群に分けると、高値群の予後は有意に不良であり(mPFS: 4.2カ月 vs 1.8カ月, HR2.95 95%CI 0.96-9.09, p = 0.048, mOS: 6.7カ月 vs 5.1カ月, HR2.72 95%CI 0.85-8.75, p = 0.078)既報の結果が再現された。 SNPsに関して、VEGFR2の2つのSNPsが投与後早期の血中VEGF-A値との相関が示唆された: rs10013228 (A>G)(mVEGF-A: AA 267.6 pg/ml vs AG 627.5 pg/ml, p = 0.053)、rs11133360 (T>C)(mVEGF-A: TT/TC 333.1 pg/ml vs 925.9 pg/ml, p = 0.047)。しかしいずれのSNPsも予後との相関は認めなかった(rs10013228(A>G) mPFS: 4.1カ月 vs 1.8カ月, HR 1.67 95%CI 0.57-4.88, p = 0.339, mOS: 6.0カ月 vs 6.0カ月, HR 1.22 95%CI0.38-3.97, p = 0.734; rs11133360(T>C) mPFS: 4.4カ月 vs 3.9カ月, HR1.54 95%CI 0.34-7.02, p = 0.573, mOS: 6.0カ月 vs 6.0カ月, HR 1.34 95%CI 0.29-6.18, p = 0.703)。 現在、月に2-3例の症例が集積しており、2023年12月末に約50例の登録を見込んでいる。今後、症例数を増やし追加解析を予定している。
|