研究課題/領域番号 |
18K08748
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
大野 聡子 久留米大学, 医学部, 講師 (80569418)
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研究分担者 |
青木 浩樹 久留米大学, 付置研究所, 教授 (60322244)
野村 政壽 久留米大学, 医学部, 教授 (30315080)
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研究期間 (年度) |
2021-01-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 大動脈解離 / 炎症 / 免疫 / 脂肪細胞 / 血管周囲脂肪組織 / マクロファージ / 平滑筋 / 細胞増殖 / 細胞老化 / 細胞間伝達 / ATP |
研究開始時の研究の概要 |
大動脈解離は命に関わる疾患であるが、予防法はなく、有効な内科的治療法もない。治療に役立つ知見をえるため、分子的な病態解明が急務である。本研究では大動脈を構成する平滑筋と、代表的な炎症細胞であり解離との関連が示唆されているマクロファージに注目し、解離発症に先立ってこれらの細胞がどのように相互作用をもっているのかを解明する。
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研究実績の概要 |
大動脈解離は突然に大動脈が破綻して死に至る重篤な疾患である。分子病態が解明されていないため、治療法はなく発症予測もできない。 解離の分子病態を研究する中で、解離刺激により抗炎症因子であるアディポネクチンの発現が大動脈で減少することを発見した。アディポネクチンは脂肪細胞から分泌され、大動脈周囲の脂肪細胞はアディポネクチンの他にもケモカインやアディポサイトカインを分泌することが知られている。脂肪組織は大動脈瘤や動脈硬化の病態と関連することが報告されているが、解離との関連は不明である。解離刺激に応答して脂肪細胞の形質が変化するのか、またその変化が大動脈組織に影響を与えるかを調べた。 大動脈解離を惹起するため、野生型マウスにコラーゲン-エラスチン架橋酵素阻害薬であるBAPNとアンジオテンシンIIを投与するBAPN+ANgIIモデルを使用した。 解離刺激前と刺激後3日で大動脈周囲脂組織(PVAT)を採取し、遺伝子発現を網羅的に調べた。解離刺激により、解離を発症する前からPVATではサイトカイン、炎症応答、増殖応答、細胞遊走に関連する遺伝子群が発現亢進することがわかった。一方、発現が抑制された遺伝子群には電解質や細胞の恒常性に関連する遺伝子群、神経系の発生に関連する遺伝子群があった。 大動脈の免疫組織科学染色を行なったところ、解離刺激前の正常大動脈ではアディポネクチンは中膜外層と内皮に多く発現していることがわかった。BAPN+AngII刺激で中膜のアディポネクチンは減少し、解離発症後の大動脈ではさらに減少した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染症流行に伴う臨床業務の比重増大により研究業務が縮小されたが、昨年度に採取したサンプルでトランスクリプトーム解析を行い新たなデータを得た。
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今後の研究の推進方策 |
これまで脂肪細胞が分泌するアディポネクチンやアディポサイトカインが動脈硬化をはじめとした炎症を制御する可能性については議論されてきた。本研究では解離刺激により大動脈周囲脂肪組織が形質転換し、大動脈の組織破壊亢進や修復能低下に関わっていくかを調べる。
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