研究課題
基盤研究(C)
大動脈瘤壁の組織学的検査では、内膜と中膜に慢性炎症と血管新生・リンパ管新生が起きていることが判明した。大動脈瘤壁のICG蛍光造影検査でリンパ液の停滞が著しい部位は、組織学的にも炎症細胞が多く観察され、リンパ管新生とリンパうっ滞が目立った。慢性炎症とリンパ管新生が大動脈瘤の発生や増大に関連していることが示唆された。一方、壁ずり応力の分布とリンパ管新生や慢性炎症との関連性は認められなかった。抗血小板作用を有する薬剤(K-134)は、ラット動脈瘤モデルで動脈瘤の拡大抑制と破裂予防に有効であった。
動脈瘤の発生や破裂にメカニズムとして、瘤壁の血流低下、低酸素状態、慢性炎症の持続が負のサイクルとなって影響していることが証明された。血流力学的影響は明らかにできなかったが、まだ調査の余地がある。血流改善と抗炎症作用を有する抗血小板薬(K-134)がラット動脈瘤モデルでは、瘤径拡大抑制や破裂予防効果があることを証明できた。今後、ヒトの動脈瘤でも同様の効果が期待でき、将来は動脈瘤を手術することなく治療できるようになる希望が得られた。
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