研究課題
基盤研究(C)
高齢者の脆弱性の指標である臨床フレイル・スケール(CFS)が救急集中治療後の予後と生活の質(QOL)に及ぼす影響について分析した。前向き多施設共同研究として、参加施設の救急外来を受診した65歳以上の患者で直接ICUに入室した患者を対象とした。日本国内の17参加施設から症例登録があり、653症例について6か月後生死の追跡をした。CFSが上がると、6か月後の死亡率は上昇した。年齢や重症度で調整した後もCFSは独立した予後規定因子であった(CFSごとの調整オッズ比:1.28)。同様にCFSが高いとQOLは不良であった。高齢者への救急集中治療導入時に取得したCFSは6か月後の予後規定因子であった。
本研究によって本邦の救急・集中治療を受ける高齢者の臨床フレイル・スケール(CFS)ごとの6か月後死亡率や生活の質(QOL)が明らかとなった。また、CFSが救急集中治療の予後やQOLを予測する有用な指標であることが示された。海外ではすでに行われているように、今後、本邦でも高齢者の治療・療養について患者・家族と医療従事者があらかじめ話し合う自発的なプロセスが重要視されると考えられる。高齢者に対する救急集中治療導入時にCFSを用いた予後予測を行い、本人の意思や家族の希望と併せてより効果的な治療導入のための方針決定に役立てられることを期待する。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)
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