研究課題/領域番号 |
18K08902
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
岩田 充永 藤田医科大学, 医学部, 教授 (10799464)
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研究分担者 |
八谷 寛 藤田医科大学, 医学部, 教授 (30324437)
寺澤 晃彦 藤田医科大学, 医学部, 教授 (30399597)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 高感度トロポニン / 非ST上昇心筋梗塞 / 診断精度 / システマティックレビュー / スコーピングレビュー / ネットワークメタアナリシス / 連即測定法 / 非ST上昇型心筋梗塞 / 観察研究 / 連続測定法 / 前向き観察研究 / エビデンスマップ / 急性冠症候群 / トロポニン / リスクスコア / 前方視的観察研究 / メタ・アナリシス |
研究実績の概要 |
86件の救急外来を受診した非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)疑い患者に対し、高感度心筋トロポニン(hs-cTn)連続測定法によるNSTEMI診断あるいは30日予後予測を報告した研究でscoping reviewを実施した。大多数は欧州、北米、豪州等の特定グループからの報告で、アッセイはAbbott (43件, 50%)とRoche(53件, 62%)が多く、検査アルゴリズムは外来受診時とその数時間後の測定値から、NSTEMIリスクを層別化する方法がとられていた。83件(97%)は前向き研究だが、53件(62%)では検体紛失や最終診断不明から最高90%の患者が解析から除外されていた。特定グループの重複報告が多く、重複のない研究は42件(49%)、競合アッセイ間の直接比較研究はわずか19件(22%)であった。中年正常腎機能患者の結果が多く、腎障害患者のサブグループデータはわずか4件の報告であった。47件(55%)で欧州心臓学会推奨3群層別化アルゴリズムが採用されていた。アウトカムは84件(98%)で最新の心筋梗塞国際定義に準拠していたが、30日イベントは研究毎に異質で標準化はされなかった。本研究結果より、現存するhs-cTn連続測定法によるNSTEMI診断のエビデンスは中年腎機能正常患者からの結果が中心だが、実臨床では高齢者や腎機能障害患者は重要な対象患者層であり、結果の適用性に疑問が残る。また主要アッセイ2種以外の結果は依然限定的であり、アッセイ間の直接比較もデータは限られた。大多数が欧米の特定研究グループの結果と地域偏向があり、アジアからの報告は限られた。患者の研究からの除外頻度は決して無視できないものであり、報告されている結果自体がリアルワールドを正しく反映していない可能性が懸念された。本結果は英文国際誌に発表した(Ohtake H., BMJ Open 2022)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度までに報告の如く、本研究結果がhs-cTn連続測定法によるNSTEMI診断の現状の科学的証拠が不十分であることを批判的に評価した報告であるため、一連の投稿雑誌では不採用となり、査読後再投稿が可能と裁定を受けたBMJ Open誌にても極めて批判的な評価と論拠を支持する膨大な追加解析の指示が出され、これに対応する詳細な検索の追加とアップデート、必要項目のデータ抽出と再解析、改訂作業に時間を要した。この大きな改定終了後検査精度および予測精度自体のネットワークメタアナリシスを進めており、研究全体の進捗が遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
一次研究のデータセットが確定し、引き続きネットワークメタアナリシスを進める。アッセイ(Abbott; Roche; Siemens; Beckmann; POC各アッセイ)、採血プロトコル(0h/1h-, 0h/2h- , および0h/3h-アルゴリズム)、検査アルゴリズムによるリスク層別群(高リスク群(Rule-in)、中リスク群、低リスク群(Rule-out))、から比較対象のコンポーネントを決定し、Owenらが報告したアーム別階層ベイズ2変量ランダム効果ネットワークメタアナリシス(Owen R et al. J ClinEpidemiol 2018)を実施して各個別方法の診断精度の違いを全体性の面から対応予定である。一次研究については潜在クラスモデル分析(不完全参照基準の側面から対応)、逆確率補正(欠落データの対応)、最新データから追跡法による追加補正を加え、ナイーブな横断的解析から生じる過大評価を定量化し、ネットワークメタアナリシスから得られた結果との違いも考察し、報告する予定である。
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