研究課題
基盤研究(C)
悪性神経膠腫におけるGuanosine triphosphate(GTP)代謝を標的とした治療について研究を行った。細胞株などに対してMycophenolic acid (MPA)を使用すると著明に細胞内GTP量が減少する。それらを脳腫瘍細胞株や手術による摘出検体から作成した腫瘍幹細胞で検討し、MPAによる腫瘍細胞増殖抑制効果が得られた。検体中の悪性度が高いと考えられる部位ではIMPDH2が増加していることが示された。悪性神経膠腫では、IMPDH2の発現上昇により、rRNAおよびtRNAの合成能が上昇しており、IMPDH2の抑制により細胞増殖抑制効果があることが判明した。
原発性脳腫瘍のうちもっとも悪性度の高い神経膠芽腫は近年化学療法の発展に伴ってその予後は改善しつつあるものの、生存期間中央値は約15ヶ月であり治療困難な疾患である。この悪性神経膠腫の治療が困難な原因は、脳には機能の局在があり全摘出することが困難であること、分子生物学的多様性による治療抵抗性、さらには脳血流関門などによる薬剤の腫瘍への到達性が低いことが挙げられている。現時点で生命予後を著明に改善させる分子標的薬はなく、治療成績の向上には新規の治療が必要である。本研究において増殖する細胞の多くで活性化しているIMPDH2の治療標的としての可能性が示された。
すべて 2019
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Nat Cell Biol
巻: 21 号: 8 ページ: 1003-1014
10.1038/s41556-019-0363-9