研究課題
基盤研究(C)
本研究では、申請者らが実施している悪性脳腫瘍(悪性神経膠腫)、治療抵抗性の神経鞘腫等の新生血管を治療標的としたペプチドワクチン療法臨床試験被験者検体を用いて、免疫応答関連細胞・因子、また脳腫瘍血管新生および浸潤性関連因子について解析し、臨床的有効性との関連性を検証した。その結果、同ワクチン療法による臨床的有効性を認めた患者検体では、ワクチン療法後にVEGFR発現細胞反応性細胞傷害性T細胞の高頻度検出、血漿中のIL-8値の低下、腫瘍細胞におけるVEGFR高発現を認めており、これらの因子は、同ワクチン療法の治療効果評価や治療反応性予測に応用しうると考えられた。
脳腫瘍血管新生抑制療法とがんワクチン免疫療法という2つの治療要素を併せ持つ悪性脳腫瘍に対する治療はこれまでに行われておらず、本研究により、脳腫瘍微小環境の免疫学的解析や脳腫瘍患者での免疫応答、脳腫瘍血管新生機構の解明など、これまでのがん治療の臨床試験では検証されていなかった知見を、がん免疫療法や腫瘍血管新生抑制療法の改良・開発に向けた基礎研究にフィードバックし得る。また、基礎研究では判明しなかった現象が臨床試験において初めて明らかにされることもある。これらの情報は、今後の免疫的治療法・血管新生抑制療法開発にとって欠かすことができない重要な指針となり、がん医療の発展に寄与する可能性がある。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)
Nature Communications
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