研究課題
基盤研究(C)
軟骨欠損の修復過程で、少数出現する表層細胞をラベルしてcell lineageを追跡するために、コンディショナルKOマウス(Prg4CreER;R26YFP)の膝関節の大腿骨滑車に軟骨欠損(punch penetration)を作成した。2週または6週でタモキシフェンtamを投与し、周囲表層部と欠損部(部分的に出現する表層細胞)のgenetic labelingを開始した。まず欠損作成後の経時的経過で、修復組織の形態学的変化の確認を行った結果、一般的なマウスモデルでの軟骨全層欠損修復過程と同じく、2-4週の経過で欠損部を充填する間葉系組織と、深部にわずかに軟骨組織形成を認めた。さらに、個体によるばらつきは多いものの、4-8週の経過で欠損部内の修復軟骨組織の増大と線維性修復の混在、深部では軟骨下骨への改変を認めた。また表層軟骨層の再生が比較的良好な個体では、表層から中間層での軟骨再生の程度も良好で、欠損中央部での軟骨再生厚も多い傾向があった。そこで欠損作成6週後にtam投与した個体を中心に、周囲および新規に出現した表層細胞のlineage解析を開始している。また組織学的修復と軟骨細胞数・密度・部位の対比解析を予備的に行ったところ、8週までに比較的良好な表層細胞層の形成があるものでは、表層細胞層に加えて、表層に近い欠損部内にもCD73やPrg4陽性細胞が、ごく少数ではあるが認められた。12週までの経過で、限られた数のマウスの解析では、これらのわずかの陽性細胞も認められなくなった。比較的良好な表層再生を認めたものに限って、表層内にはPrg4陽性細胞が残存していた。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Biochemical and Biophysical Research Communications
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