研究課題/領域番号 |
18K09937
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 晋爾 筑波大学, 医学医療系, 教授 (30550165)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 精神療法 / カール・ヤスパース / 精神病理学 / ヴィクトール・フランクル / メダルト・ボス / 実存哲学 / ヤスパース / 実存 / ハイデガー / 実存的精神療法 / マックス・シェーラー / 実存分析 / ロゴテラピー / 感情移入 |
研究成果の概要 |
精神病理学を確立したカール・ヤスパースは、精神療法にも強い関心を抱いていたことはあまり知られていない。本研究では、ヤスパースの精神療法論の概要をまとめ、後年の彼の哲学思想を導入し、ヤスパースの実存的思想を取り入れた精神療法の構築を試みた。ヤスパースの精神療法論は、あくまで当時の平均的医療水準の技法の提示だけだったが、彼の哲学は、精神療法に重要な対話、自己の固有性、決断の意味が強調される思想だった。 ヤスパースの実存概念を用いた治療では、目標を症状や疾患の次元の改善に設定せず、患者の固有性への回帰とし、技法では細やかな感情移入と、了解の継続が重要と考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでヤスパースは、観察者として患者の状態を記述することに熱心で、治療的関与に距離を置いていたと捉えられる傾向があった。しかし、彼の精神医学の著作だけでなく、書簡や同時代医師の証言などを検討すると、実際は精神科治療をかなり熱心に研究していたことが明らかになった。この点は、本邦の精神科におけるヤスパースのイメージを変えうる結果だったと考える。 またヤスパースの治療観は、心の深層より本人の現実的能力や社会との接点を重視し、実際にできることを考えるものだった。この治療観は、我が国の精神科医が日常的に行っている治療法の基盤になりえることが示唆された。
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