研究課題/領域番号 |
18K10101
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
関 奈緒 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30270937)
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研究分担者 |
小林 恵子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50300091)
成田 太一 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70570521)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | インフルエンザ / 地域流行状況 / COVID-19 / 非医薬的公衆衛生対策 / 学童 |
研究実績の概要 |
2022年度もフィールドである佐渡市の医療機関と連携してインフルエンザ発症登録システムを運用した。本システムは佐渡市の内科、小児科標榜医療機関の8割以上が連携しており、地域のインフルエンザ発生をほぼ把握できるものである。なお本システムではインフルエンザの型、患者年齢、患者の居住地域(郵便番号レベル)の情報を収集しており、毎週、型別、年齢別の発生地図を作成し、Web公開している。本研究の補助期間は2018年度からであり、2019/2020シーズンにパイロットスタディの介入研究を実施していたが、2019/2020シーズン中に発生したCOVID-19の流行に伴い急速流行が収束したのち、2020/2021及び2021/2022シーズンともに佐渡市ではインフルエンザ発症登録なしであった。これは全国的にインフルエンザの発生が抑制されたのと同様であった。本研究で効果検証の対象としていた手洗い、手指消毒、マスク着用などの非医薬的公衆衛生対策は、COVID-19対策として2022年度も高い実施状況が続いていたこと、さらに2022/2023シーズンに効果の検証が可能なレベルのインフルエンザ発生が予測できなかったことから予防行動プログラムによる介入研究の実施と評価という申請時の研究計画を遂行することができなかった。なお2022/2023シーズンは、2022年第52週に5例、2023年第1週には31例の発症登録があったものの、COVID-19前の通常シーズンのような増加傾向は示さず、翌第2週には4例と急減し、その後は年度末まで0~5例/週という単発に近い発生状況が続いた。地域における予防行動の実践による流行拡大防止効果とも考えられるが、インフルエンザの流行拡大様式がCOVID-19前とCOVID-19後では変化した可能性もあり、今後のシーズンにおける発生状況の蓄積が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画では2020年度~2021年度に2019/2020シーズンに実施した小規模介入研究(パイロットスタディ)及び前向き観察研究の結果に基づいて有効な非医薬的公衆衛生対策としての予防行動を決定し、介入ツールや介入プログラムの策定及び介入研究を行う予定であった。しかしCOVID-19のパンデミックに伴い、パイロットスタディは2019/2020シーズン途中での中断を余儀なくされ、続く2020/2021シーズン、2021/2022シーズンともに研究フィールドとしている佐渡市においてインフルエンザの発症登録が0であった。さらに2022/2023シーズンも本研究で効果検証の対象としていた手洗い、手指消毒、マスク着用などの非医薬的公衆衛生対策はCOVID-19対策としてフィールド内で高い実施状況が続いており、インフルエンザ流行の拡大もなかったことから、介入研究の遂行は困難であり大幅な遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は非医薬的公衆衛生対策である手洗い,手指消毒,マスク着用などのインフルエンザ発症予防効果を介入研究により明らかにすることを目的としているが、2020年以降、これらの予防行動がCOVID-19対策として広く普及し、介入研究の実施が困難になっている。さらに2020/2021、2021/2022シーズンのインフルエンザ発生0に引き続き、2022/2023シーズンも2023年第1週には30例を超える発症登録があったものの、COVID-19前の通常シーズンのような流行曲線は示さず、ほぼ単発の増加にとどまるなど、インフルエンザ流行形態にも大きな影響が生じている。このように本研究は研究計画を変更せざるを得ない課題が蓄積している状況である。本研究の補助事業期間は2022年度までであったが、期間延長が認められたことから、引き続きインフルエンザ発症登録を運用するとともに、当初計画である予防効果の検証に向けた介入研究の準備を整える予定である。
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