研究課題/領域番号 |
18K10269
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 公立小松大学 |
研究代表者 |
森川 浩子 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (10313743)
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研究分担者 |
任 和子 京都大学, 医学研究科, 教授 (40243084)
北田 宗弘 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (40434469)
古家 大祐 金沢医科大学, 医学部, 客員教授 (70242980)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 高齢者糖尿病 / アクセプタビリティ / 重症化予防 / 老年症候群 / 併存疾患 / 自己管理能力 / 介護 / 医療経済 / QOL / 糖尿病ディストレス / 医療依存度 / 認知症 / 新型コロナウイルス感染症 / EQ-5D-5L / 高齢者 / 糖尿病 / 慢性腎臓病 / 生活習慣改善 / 橋渡し研究 / 認知機能 / 自己管理 / 家族 / 自立支援 / 安全性 / 疾病負荷 / 医療の標準化 / 高齢糖尿病患者 |
研究実績の概要 |
【① 高齢者糖尿病に関する最新の研究動向を踏まえた問題状況への対応】 米国糖尿病学会は、2023年1月Standards of Care in Diabetes 2023 (糖尿病医療の標準 2023)を報告した。高齢者糖尿病は、65歳以上の糖尿病と国際的に定義される。高齢者糖尿病は、加齢現象による老年症候群、糖尿病合併症の重篤化・併存疾患、身体機能の著しい低下、認知機能低下、要介護状態の増加がおこる。米国糖尿病学会は、糖尿病重症化に対応した医療的介入として、4ステージに分け、1)発症時、2)1年毎の病態把握、3)合併症進展時の身体・心理的把握、4)高齢化に伴う社会的把握をあげている。米国では、科学的根拠に基づく医療(EBM)とともに、個別化医療(プレシジョンメディソン)が進み、Guided Care (患者個々の問題状況に対応し、患者の価値観や選好を取り入れた導く個別化医療)が推進されている。 【② 本邦における高齢者糖尿病が抱える問題状況】日本は、高齢化率が世界第1位であり、重症化した高齢者糖尿病を支える医療体制の構築が重要な課題である。また、高齢者糖尿病は、認知機能低下や家族機能の変化により孤立しやすく、適切な医療サポートを受けることが困難な状況が起こっている。このような社会的背景から、すでに医療格差の存在が指摘されている。医療資源の有効利用を図るため、我が国の社会情勢に応じた、Guided Care を抽出する必要がある。Guided Care は、米国ジョンズホプキンス大学等、多くの研究機関で取り組まれており、医療の質と医療経済の両面から、患者のアクセプタビリティ(受け入れやすさ)を中心に自己管理能力を維持することを目指す。 【③ Guided Care を日本の医療体制に応用できないか?】高齢者糖尿病は、自己管理行動を維持するためには、医療へのアクセスが重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年1月~2023年3月まで約3年間にわたり、新型コロナウイルス感染症が流行し、医療機関において、面談による患者調査を行うことが難しく、臨床に基づく研究を進めることが困難であった。その期間において、高齢糖尿病患者は、新型コロナウイルス感染症による重症化が高いことが報告され、血糖コントロールの悪化など要因が指摘された。 高齢者糖尿病に多い併存症として、腎機能障害や心不全、認知症、うつ、感染症があり、病態の重症化と自己管理行動の困難さが重なった事例が散見された。 加齢現象とともに、高齢者糖尿病のADL(日常生活動作)低下や認知機能の低下が起こることは避けられないが、Guided Care によって、3つの改善(生活の質・医療機関へのアクセス・自己管理行動)が期待され、身体機能の向上が期待される。新型コロナウイルス感染症による感染予防行動(外出を避ける)が、高齢者糖尿病に及ぼした影響は甚大であり、本研究を進めるうえで、高齢者糖尿病に対する医療アクセスの再構築について、文献検討などの準備的な研究を行った。
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今後の研究の推進方策 |
【①Guided Careに関する調査研究】 高齢者糖尿病は、EBM(根拠に基づく医療)とともに、患者個々の病態(加齢現象や重症度、依存症)や患者家族の選好(Preference)に応じることが求められる。Guided Care を推進するジョンス・ホプキンス大学では、 オンラインセミナーや論文によって、Guided Care の理論と実践を報告している。Guided Care は、実際の臨床実践をもとに、併存疾患を持ち多職種の医療者による支援を受けながら、自己管理行動を行い、充実した生活を送っている事例をもとに、理論化されたものである。また、高齢者糖尿病では、自己管理能力だけでなく、認知機能の客観的評価が重要であり、システム化が図られている。 2023年8月は、米国糖尿病教育者協会年次集会(ADCES)50周年記念大会が開催される。米国においても、高齢化社会と糖尿病は大きな課題であり、Guided Care は重要な課題である。今後の研究を推進するうえで、2023年8月ADCES年次集会に向けて、ポスターセッションに応募(6月演題締め切り)するとともに、ジョンス・ホプキンス大学での臨床研修を行うように、調整中である。 【② Guided Care を日本での導入と検討】日本においても、高齢者糖尿病は、入院治療から在宅療養推進・要介護・終末期医療にむけて継続性とともに、医療経済の妥当性が求められている。高齢者糖尿病の医療システムは、患者の重症度(併存疾患や生命予後)や家族状況によって多様であるが、患者家族の個別性を取り入れた重症化予防の視点に立つGuided Care を推進し、学会誌に報告する。
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