研究課題/領域番号 |
18K10584
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 福岡大学 (2023) 福岡県立大学 (2018-2022) |
研究代表者 |
檪 直美 福岡大学, 医学部, 教授 (80331883)
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研究分担者 |
尾形 由起子 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (10382425)
田中 美加 北里大学, 看護学部, 教授 (70412765)
江上 史子 福岡県立大学, 看護学部, 助教 (80336841)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 認知症 / 高齢者 / 家族介護者 / 介護力 / 認知症カフェ / 認知症ケアマップ / 多職種 / 介護力獲得支援プログラム |
研究実績の概要 |
令和5年度の目的は、継続的支援として家族介護者の悩みや相談に寄り添い、介護の肯定的感を向上する仕組みづくりを行うことであった。令和4年度に取組んだ自治体との連携による認知症とその家族への支援モデルとして認知症カフェを利用した家族について継続的に支援を行い、介護力支援プログラムを地域事業に組み込む方法を検討した。まず1つ目の家族は認知症カフェには月に1回参加し、暮らしについて夫より状況を語ってもらい、その語りの中で介護負担感と介護肯定感について測定を行った。専門職である看護師、保健師と認知症サポーターが寄り添い傾聴し介護力において「負の感情表出力」を高めること、「周囲の援助活用力」を高めることが重要だと判断した。また認知症本人にも集中力を高めるため趣味の園芸やお茶の準備などの役割を持たせた。この支援には家族介護者の介護負担感と介護肯定感の状況を見極め臨機応変に専門職で役割分担して支援することが求められる。専門職であり生活者である視点から家族介護者と認知症本人への同時での支援が特徴である。家族介護者が男性の場合は家事の負担も大きく、家事への支援もポイントである。帰宅後には自宅での様子を記録して頂く。新たなことの学びが「介護から離れる時間をつくる力」に影響した。次の家族は認知症の父親を介護する男性であり、介護のため離職し慣れない家事により介護負担感は精神的にも肉体的にも経済的にも大きかった。特に健康状態への支援が必要であり専門職による健康相談を継続した。また介護負担感が大きく「周囲の援助力」の低い場合は、家に閉じこもる傾向にあるため、アプリを活用して専門職と顔の見える関係性が途切れないよう支援した。新たな仲間を作り、視野を広げることは特に男性介護者には必要な支援である。令和5年度は個別具体的に支援の方法を検討し、継続的支援を行いつつ、聞き取り調査を行い、効果を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まずやや遅れていると判断した理由として、感染対策を講じながら少しずつ認知症カフェを再開し活動をおこなってきたが、初期の計画では10か所の認知症カフェでの支援を計画していたが、再開できたのは6カ所であり、再開までの期間に研究協力者の諸事情により参加できないケースが相次いだ。対象者は高齢者であり環境の変化に脆弱であることからも予定通りの計画では進めなかった。しかしながら個別具体的なケースとして2家族に継続的に支援を行うことで質的なデータが得られたことは大変意義があった。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に作成した認知症ケアパスを活用して、認知症カフェでの具体的支援について啓発活動を行う。認知症になっても地域で暮らすことが理想であり、そのためには地域住民への認知症理解を深めることが重要である。そのためにも最終年度は啓発活動と6年間にわたる認知症を抱える家族介護者への支援の効果について広く成果を公表したいと考える。本研究では限られた社会資源であるフォーマルサービスだけでなく、地域において認知症の段階に応じた役割を持たせることが重要であり、そのことで家族介護者への介護肯定感向上につながることが結果として得られた。今後の認知症カフェでは専門職の見守りのもとで認知症高齢者自身にも役割を持たせ潜在的能力を引き出すこと、家族介護者への介護力に応じた取り組みに繋げたいと考える。特に過疎地においては社会資源が枯渇しており介護サービスや支援に限界がある。そのためこれまでの成果を過疎地での地域住民と自治体とが一体的に取り組めるよう研究を推し進めていく計画である。
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