研究課題/領域番号 |
18K10896
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
勝又 宏 大東文化大学, スポーツ健康科学部, 教授 (40398350)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2018年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 運動制御 / 視覚情報処理 / 認知的情報処理 / 視覚-運動制御 / 知覚-運動連関 / Ebbinghaus錯視 / 錯視 / 二重課題 |
研究実績の概要 |
Ebbinghaus効果を誘発する対象物の大きさに関する視覚判断は、実際の物体の大きさよりも過大・過少評価してしまう.この“大きさ錯視”は、視覚情報に関する認知的処理を表すものとして知られている.この大きさ錯視を誘発する対象物に対する把持動作(Ebbinghaus図形の真中の円盤を標的として、それに手を伸ばして摘まむ動作)のデータを用いて、「この摘まみ動作中の指の開き具合の大きさは、視覚による大きさ認識に基づいた動作形成を示す」という観点より、動作制御機能の研究分野では視覚情報の脳内処理に関する議論が展開されてきている.本研究では、このEbbinghaus効果を用いた標的物に対する把持動作の実験パラダイムを応用することによって、意識や注意といった認知的活動の“視覚情報処理-動作生成”過程への関与についての知見を得るために、動作遂行に対する錯視効果について検討している.具体的には、極限法を用いて大きさ錯視の効果が誘発される標的図形サイズの閾値を特定し、その閾値を基に「実際には大きさの異なる2つの標的が錯視効果の影響により同じ大きさに見えてしまう」条件を設定し、これに対する摘まみ動作を検討している.これまでに得られているデータの分析によれば、錯視により“見た目のサイズ”は同じに見えるはずだが“物理的には異なる標的サイズ”に対して摘み動作は錯視の影響を受けなかったということを示唆する結果が得られている.これは「意識に基づいて動作を遂行しようとすれば錯視に惑わされるはずなのだが、この動作は意識の影響を受けずに遂行された」という見解を支持する内容となっている.コロナ禍における研究活動の遅延により、研究期間延長申請を経ての研究計画の遂行となったが、現時点までに得られたデータに基づくと、上述の知見が得られている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍において研究活動が著しく遅延してしまったことにより、研究期間延長申請を経て研究計画の遂行に向けて取り組んできたが、今年度は最終年度となる.昨年度までに獲得した被験者データを分析して結果の取りまとめに入る段階である.得られた知見を基に、関連する研究分野の国際誌に成果発表するための論文作成に取り掛かる.
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今後の研究の推進方策 |
研究助成期間の最終年度として、これまでの実験データの分析結果をとりまとめ、関連研究分野の国際誌への論文投稿の準備に取り掛かる.また、本研究による知見をもとに、本実験が扱った実験パラダイムにおいて、シャッターゴーグルを用いて課題遂行時の視覚条件をコントロールするという方法を取り入れることで、視覚情報に基づいた課題動作遂行に関する判断過程について検討するという研究のヒントを得ることができた.このような検討が可能となれば、視覚による認知的情報処理による動作の遂行の“視覚-動作制御”過程のメカニズム研究にとって興味深い.今後、この点に関して実験パラダイムの開発を試みながら着手していきたいと考えている.
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