研究課題
基盤研究(C)
乳癌のリスクを下げるフィトケミカル(FCM)の抗腫瘍効果の機序をサブタイプ別に解析し、動物実験で検証した。ER陽性細胞においてゲニステイン(GEN)とイコールの併用は強力に細胞増殖を抑制し、この機序はBaxの増加とBcl-xLの抑制によるアポトーシス誘導であることを示した。Src活性化細胞に対してGENはp53、p21の発現増加を介してG2/M期の細胞周期停止を示した。スルフォラファンはトリプルネガティブ乳癌に対しFCMの中で最も強い増殖抑制を示し、経口投与でも担癌マウスの腫瘍増殖を抑制した。FCMは乳癌の細胞特性により増殖抑制の機序が異なるが、発症予防や再発抑制に効果を示す可能性がある。
乳癌は増加の一途をたどり、早急な予防対策が迫られている。本研究ではフィトケミカルの乳癌に対する抗腫瘍効果を評価し、機序を明らかにすることにより、予防における植物性食品摂取の意義を明確化し乳癌罹患率の低下につなげることを目指している。疫学研究により乳癌発症リスクとの関連が示唆されているフィトケミカルについて細胞実験、動物実験により評価した。大豆イソフラボンは単独では効果が低いものの、強い相乗効果があることが明らかになった。SFは他のフィトケミカルと比べても強い抗腫瘍効果があり、特に難治とされるトリプルネガティブ乳癌細胞に対する抗腫瘍効果が高かった。これらの研究結果は予防に応用できる可能性が高い。
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