研究課題/領域番号 |
18K11059
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 聖隷クリストファー大学 |
研究代表者 |
熊澤 武志 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (00186470)
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研究分担者 |
久保田 君枝 聖隷クリストファー大学, 助産学専攻科, 教授 (40331607)
中内 暁博 (李 暁鵬 / 中内暁博) 東都大学, 沼津ヒューマンケア学部, 教授 (90245829)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | ピロロキノリンキノン / 母乳 / 抽出法 / 質量分析 / 質量分析法 / 固相抽出法 / MS法 |
研究実績の概要 |
本年度は以下の検討を行った。 これまでの研究では、ヒト母乳中のピロロキノリンキノン(PQQ)を抽出する方法として、固相抽出法(SPE)および液-液抽出法による試料の前処理法を検討してきたが、本年度はヒト母乳を分析試料に用いる前段階として、市販の人工乳を用いた抽出法と超高速液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析-選択反応モニタリング(LC-MS/MS-SRM)法を組み合わせたPQQ抽出試料の分析法の開発を検討した。抽出法ではイオン交換樹脂カートリッジカラムを用い、LC-MS/MS-SRM法ではネガティブイオンモード条件下でのプリカーサイオンとプロダクトイオン(カルボキシ基の開裂)の組み合わせによる高感度分析法を酢酸アンモニウム溶液とアセトニトリルの逆相カラムリニアグラジエント法において実施した。その結果、イオン交換樹脂カートリッジカラムを用いたSPE法では、抽出効率は60~70%程度、還元剤を試料(人工乳)に添加し抽出操作することでSRM法のバックグランドノイズの低減が確認されたほか、PQQの溶出時間の延長を伴うマトリックス効果の現象が見られた。また、今回の分析条件ではPQQの代謝物であるグリシンアダクトの抽出を同じ条件下で同時に行うことが可能であり、SRM法に適したプロダクトイオンの検出も可能であることが確認できた。本検討では、これまでの研究結果に改良を加えることができ、イオン交換樹脂を用いたSPE法と逆相カラムを用いたLC/MS/MS-SRM法との組み合わせは、母乳中PQQの高感度分析に関して有用の方法であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまでの研究において、人工乳中のPQQ抽出実験において、抽出効率の低さが課題となっていた。抽出法に関しては、これまでに種々のSPE法、液-液抽出法、徐タンパク法等を検討したが、イオン交換樹脂カートリッジによるSPE法では良好な抽出効率が得ら結果となった。しかし、還元剤の添加による質量分析法での検出感度の改善が見られたものの、マトリクス効果の影響が加わることが明らかとなった。なお、新型コロナウイルス感染拡大の長期的影響によって、質量分析計の使用が可能である昭和大学での実験が滞っており、LC/MS/MS-SRM法による母乳中PQQの高感度分析の品質管理が予定通りに進んでいない状況である。また、授乳婦からの母乳の採取には母子への細心の注意が必要であり、施設や授乳婦の選定の進捗に大幅な遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、検討されたPQQ抽出法とLC-MS/MS法の組み合わせによる分析法に関する品質管理の確認を行い、その後、実際の母乳からのPQQの検出・定量を試みる予定である。本年度に実施した改良型抽出法は、実際の母乳からのPQQ抽出において有効に働くと考えられる。一方、今回の研究でPQQ添加用に用いた人工乳は、現在、複数のメーカーから発売されているため、使用する種類を増やし、実際の母乳に対応するための分析のシミュレーションを継続する予定である。なお、授乳婦からの母乳の提供では、本研究に十分な数が得られない場合も考えられるため、その際は、本研究以前に採取して冷凍保存している母乳の使用も考慮に入れてPQQの同定・定量を試み、本研究の栄養学領域での有用性等を検討する予定である。
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