研究課題
基盤研究(C)
健康日本21(第2次)では、超高齢化社会における健康寿命の延伸のため生活習慣病の発症・重症化予防とロコモティブシンドロームの予防による高齢期の身体機能・骨密度の維持が重点課題となっている。中でも介護予防の観点からは、中高齢期に顕在化するサルコペニア肥満、つまり加齢に伴う筋量の減少と体脂肪量の増加により肥満となる状態は、基礎代謝等の機能を低下させ、生活習慣病のリスクを高めると言われていることから、若年期に比べて中高齢期には筋力・筋量の維持に対してより配慮する必要があると言える。そこで、本研究における地域在住の50~75歳の女性協力者の運動介入への継続年数別に1年群、2年群、3年以上群と分け、代謝性疾患に及ぼす影響を検討した。体組成の変化を検討したところ、1年群及び2年群に比べて3年以上群では体脂肪率、及び脂肪量は統計的に有意に低い値であった。また、除脂肪体重は3年以上群で高い値であったが、統計的な有岩は認められなかった。次に血中総コレステロール値及び動脈硬化指数(TC/HDL-C)に関して検討したところ、運動継続年数が増えるにつれて、いずれの値も3年以上群が最も低値であり、3年以上群<2年群<1年群と3群間で有意な差を認めた。また、LDL-C、HbA1cのいずれも1年群及び2年群に比べて3年以上群では有意に低値であった。これらのことから、運動介入の実施前後の比較において、複数年の運動継続群では、体脂肪の減少と除脂肪体重の維持、及び代謝性疾患に関する血液生化学検査値の改善が見られたことから、サルコペニア肥満の改善の可能性が示唆された。
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CLINICAL CALCIUM
巻: 28 ページ: 9-16