研究課題
基盤研究(C)
2018年度は主に非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)あるいは肝内脂肪蓄積量と2型糖尿病(T2DM)との関係について横断的に検討を行った。T2DMの併存とNAFLDとの関連は直接的でなく内臓脂肪蓄積を介したものであることが示唆された。2019年度以降では、NAFLDがT2DMを発症させる原因物質の候補の1つとして血漿中キサンチン酸化還元酵素(XOR)活性を中心に検討した。その検討の結果、①NAFLDで惹起されるインスリン抵抗性が内臓肥満とは独立して血中XOR活性と相関すること、②ヒトでは唯一肝内で産生されるXORの血中活性が尿酸レベルと相関すること、③12ヵ月でのXOR活性の変化が尿酸の変化と相関すること、④酸化ストレスに影響を受ける血圧と血中XOR活性が関連すること、⑤尿酸はXOR活性とは独立して酸化ストレスの上昇に寄与すること、⑥インスリン抵抗性がXORを活性化させること、⑦コロナ禍では脂肪肝と関連した代謝異常に影響を及ぼしたこと、⑧XOR活性は尿酸値と独立して血管内皮機能に関与することを順次論文報告し、NAFLDがインスリン抵抗性とXORを介して糖尿病や動脈硬化の発症と関連する可能性を示唆した。また、糖尿病発症に関するコホート研究では、コロナ禍の影響で受診者が著明に減少し、想定外にリピーターデータが不足したため研究期間の延長を余儀なくされたが、コホート研究の対象者エントリー期間を2015-2017年度に延長し、観察期間も2022年度まで延長することで、縦断解析が可能なサンプル数を確保することが可能となった。2023年度にはデータ回収を完了し、Cox比例ハザード解析にて、NAFLDが内臓肥満とは独立してDM発症のリスクとなることを初めて明らかにした。現在論文投稿準備中である。最終的に本課題の主要な解析を完了した。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 2件)
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