研究課題
基盤研究(C)
本研究では地域在住高齢者を対象に,有酸素運動とレジスタンス運動の複合運動療法における順序性や強度が,動脈スティフネスや生活体力などに及ぼす影響について無作為化比較試験を用いて検討した。高齢男性を対象として検討した結果,脈波伝播速度がレジスタンス運動を先に行い有酸素運動を後に行う群のみ有意に低下し,複合運動療法の順序性が動脈スティフネスに異なる影響を与える可能性が示唆された。生活体力は握力,歩行能力,動的バランス,柔軟性がいずれの運動群においても有意に向上した。また,高齢女性を対象として検討した結果,レジスタンス運動における強度の違いが動的バランスに異なる影響を与える可能性が示唆された。
現在、主要な先進国においては、中高年者の健康づくり運動として有酸素運動とレジスタンス運動を複合的に実施することが常態化している。しかし、多くの運動療法指導者やリハビリ施設等において、その複合運動療法の順序性については経験的にプログラム化されているのが実情であり、生活習慣病や要介護状態などの予防・改善に及ぼす科学的なエビデンスを基に構成されているとは言い難い。本研究は、複合運動療法の順序性や強度が、生活体力や動脈スティフネスなどに異なる影響を与えることを明らかにしたことにより、今後の複合運動療法のプログラミングや指導方法に対して、より効果的で有益なエビデンスを現場に提供できるものと期待される。
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