研究課題/領域番号 |
18K11175
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60020:数理情報学関連
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
竹田 晃人 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (70397040)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 行列分解 / ベイズ推定 / スパース性 / 疎行列推定アルゴリズム / スパースコーディング / ハイパーパラメータ調整 / 神経回路網理論 / 簡約ダイナミクス / 行列分解問題 / 変分ベイズ法 |
研究実績の概要 |
当該年度は前年度に引き続き (1)ハイパーパラメータ調整法を導入したスパース行列分解アルゴリズムに関する研究 (2)行列分解アルゴリズムの収束点の解析 (3)神経科学におけるスパースコーディング問題と行列分解問題との関連性および独立成分分析(ICA)のスパース拡張、以上3点の研究を実施した。 (1) ハイパーパラメータ調整法を導入したスパース行列分解アルゴリズムについては既に研究成果を得たので、論文を執筆し投稿した。本論文は既に論文誌に受理され出版されている。 (2) ガウス事前分布を仮定した行列分解アルゴリズムの挙動について、信号・ノイズ分離の手法による解析を進めた。結果として、我々の解析で得られるアルゴリズムの収束点の性質と実際の行列分解アルゴリズムの収束点の性質とはかなり良い一致を示すことが分かった。本成果については機械学習分野の学会で発表を実施した。 (3) 機能的磁気共鳴画像法(fMRI)の公開データに行列分解アルゴリズムを適用し特徴量抽出を試み、スパース性が特徴量抽出に有用であることを示す結果を得た。本成果については神経科学分野の学会で発表を実施し、さらに論文を執筆し論文誌への投稿を行った。なお本研究に関し研究指導中の学生が学会発表で賞を授与された。以上の成果に加え、独立成分分析(ICA)にスパース性を加えたアルゴリズムを考案し、その性質について機械学習分野の学会で発表を実施した。 この他にも行列分解問題やスパース性に基づく機械学習の問題に関する研究発表を実施した。内容は圧縮センシング(スパース性を利用した画像処理)や神経細胞集団推定等である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は昨年度に引き続きスパース行列分解の性質の解明に関する研究を複数並行して実施した。なお当該年度は本研究課題の最終年度であったため、研究成果をできるだけ学術誌論文・学会発表の形で公表するように努めた。最終的にはスパース行列分解のパラメータ調整に関する学術誌論文を出版でき、かつ多数の学会発表を実施することができ、目標はある程度達成されたといえる。中でも研究指導中の学生が学会発表により受賞したことは大きな成果である。 しかし、本研究課題の研究代表者は別の大型科研費プロジェクト(学術変革領域研究B)にも関わっていたため、本課題に加えて他の研究も進める必要があり、当初の研究期間の5年間が終了した時点でまとめ切れていない成果(行列分解アルゴリズムの動的性質等)が残ってしまった。さらに研究期間中にコロナ禍による研究の遅れが生じていたが、最終的に遅れを取り戻すには至らなかった。(従って、後述の通り1年間研究期間を延長することにした。)なお、当初の研究計画に追加し新たな課題として取り組んでいる神経情報処理と行列分解問題との関係性については、研究期間の途中から取り組んだにもかかわらず着実に成果が得られており、研究は順調に進んでいるといえる。 上記の状況より、本研究課題の計画は総合的にはやや遅れていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
前述のように、コロナ禍や他の大型科研費プロジェクト(学術変革領域研究B)への従事による研究の遅れがあったため、当研究課題の研究期間を1年延長することにした。なお、別に携わっていた大型科研費の研究期間は終了したので、延長期間中は本研究課題に専念できると思われる。 延長期間中は、これまでに研究が大きく進展した内容を論文化するように努める。特に以下の2つの内容に重点を置く。(1)行列分解アルゴリズムの動的性質について、信号・ノイズ分離の手法による解析結果と実際のアルゴリズムの挙動との比較結果とをまとめる。(2)スパース化されたICAを定式化し、かつ高速に動作するアルゴリズムを構築する。 加えて、本来は本課題の成果を研究期間中に国際会議で発表する予定であったが、発表予定の会議(統計力学国際会議)がコロナ禍で延期されたため、1年の延長期間中に国際会議発表を実施する。 本課題は昨年度に引き続き研究代表者・研究室の卒業生・現研究室の学生と共同で進め、論文執筆や学会発表を適宜分担して研究成果の発信に努める。なお、本課題の研究代表者は神経科学におけるデータ解析手法の数理研究に関する新たな科研費研究課題(基盤研究C)を推進することになったので、その研究につなげるように行列分解に関する本課題の成果、特に神経活動データ解析に有用な行列分解の手法の構築法について、延長期間で深く掘り下げたい。
|