研究課題/領域番号 |
18K11179
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60020:数理情報学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2019-2022) 横浜国立大学 (2018) |
研究代表者 |
成島 康史 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (70453842)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 均衡問題 / サプライチェインネットワーク / 変分不等式問題 / ロバスト最適化 / ネットワーク最適化 / 数値解法アルゴリズム / 相補性問題 / 均衡分析 |
研究実績の概要 |
前年度までの進捗を踏まえ以下の研究を行った。 1.不確実性を含むサプライチェインネットワーク(SCN)における均衡問題の分析:昨年度より注目し始めた分布的ロバスト最適化を引き続き研究した。今年度は、想定するSCN上の各意思決定主体の変数に不確実性が含まれるような状況において、分布的ロバスト最適化を適用したモデルの構築を検討した。また、派生的な研究として、分布的ロバスト最適化を用いて、分散投資問題や経路選択問題に対する最適化モデルを構築した。 昨年度に定式化を行ったサービスレベルや製品の品質を変数に取り込んだSCN均衡モデルの均衡解の性質を分析するとともに、数値実験を行い、パラメータが変化した際の均衡解の挙動について分析を行った。 2.サービスを考慮したSCNにおける均衡問題の分析:昨年度までに定式化したモデルはリーダー・フォロワーゲームなる。今年度はその中でもマルチリーダー・ワンフォロワーゲームに対する数値解法を研究した。具体的には,最適値関数を用いてフォロワーの問題を再定式化することにより、2段階の問題を1段階の問題へと変形し、さらにそれを非線形の方程式系へ変形することで求解する方法を提案した。また、予備的な数値実験を行い、提案法の有効性を検証した。 3.複雑な構造や制約を持つSCNにおける均衡問題の分析:今年度は、航空業界における航空燃料のSCNに着目した。近年、航空燃料としてSAF(Sustainable aviation fuel)が注目されているが、その調達ルートは確立されていない。そこで、SAFの調達ルートが確立された場合の炭素排出量削減効果を分析するためのSCN均衡モデルを構築し、予備的な数値実験を行った。 また、上記1と2に共通して、微分不可能な関数を含む方程式系や最適化問題を効率的に解く必要があるため、それらに対する数値解法アルゴリズムについても研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主な原因はCOVID-19の影響である。国内の学会は対面での開催も増えてきたが、まだハイブリッド開催の学会も多く、成果の公表およびそれに関する議論の場が十分ではなかった。一方、海外の国際会議は対面での開催が多かったが、(特に年度前半は)様々な状況を鑑みて、参加を見合わせざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
各項目について以下のように研究進める。 1.不確実性を含むSCNにおける均衡問題の分析:引き続き分布的ロバスト最適化に基づくSCN均衡問題に着目し、均衡モデルを構築するとともに、その均衡解の存在性や一意性について議論する。また、2022年度から開始した分布的ロバスト最適化自体に対する研究も継続的に進めていく。特に、経路問題などといったネットワーク上の分布的ロバスト最適化に着目する。サービスレベルや製品の品質を変数に取り込んだSCN均衡モデルについてはある程度の結果が出ているが、より詳細な分析を進めて学術誌への投稿を目指す。 2.サービスを考慮したSCNにおける均衡問題の分析:2022年度に提案したマルチリーダー・ワンフォロワーに対する数値解法は等式制約が存在する場合には高精度での求解が難しいことが予備的な数値実験を通して判明している。そこで、ほかのアプローチでの数値解法の構築を目指す。 3.複雑な構造や制約を持つSCNにおける均衡問題の分析:引き続き、航空業界における航空燃料のSCNに着目した均衡問題を取り扱う。まずは、均衡解の性質について数理的な分析を行い。さらに、より詳細な数値実験を通して、どのような状況において炭素排出量削減効果が高くなるかについて分析を行う。 また、1~3を通して、定式化された問題は最終的に微分不可能な関数を含む方程式系や最適化問題へと変形を行い求解する必要があるため、そのような問題を解くための数値解法アルゴリズムについても継続的に研究を行う。
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