研究課題/領域番号 |
18K11344
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60100:計算科学関連
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
齋藤 暁 崇城大学, 情報学部, 准教授 (70513068)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2018年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 行列積状態 / 多倍長精度計算 / 量子回路 / 古典シミュレーション / 密度行列繰込群 / 素因数分解 / ベンチマーク / 数値繰込群 |
研究実績の概要 |
2023年度は研究上の主題に関する進展(i)の他、副次的な成果(ii)があった。 (i) 多倍長精度の時間依存数値繰込群ライブラリの並列化実装の改善をさらに進めた。これについて国際会議で発表するとともにpost-conference会議録に投稿した[A. SaiToh, arXiv:2402.11868 (physics.comp-ph), accepted for publication in Proc. CCP2023]。 (ii) 本研究ではバックエンドライブラリの立ち位置にある多倍長精度の行列計算ライブラリは他分野で活用されており、ユーザの利便性向上のため擬似逆行列計算用のルーチンを2つ追加するとともに3つのルーチンの速度比較を行った(学会発表欄を参照)。超高精度の領域ではGreville法がGlassey法とSVD法に比べて圧倒的に高速であった。 一方で前年度までの研究実施状況報告書で述べたように、研究代表者が併任している所属機関の総合情報センターにおいて2020年度から新型コロナウイルス流行に起因して労務負担が増大したままであり、いまだ研究の遅延を挽回できていない。特例での研究期間の再々延長が認められたため最終年度となる2024年度は、ここ数年のライブラリ開発総括、量子回路シミュレーションの蓄積データの解析、解析データと整合性がある理論モデルおよびその数理解析、の3つの大枠でそれぞれ論文または技術文書の執筆を行う予定である。これらにより数値繰込群による素因数分解の解法の効率性について確度が高い指針を示せると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020~2022年度まで新型コロナウイルス流行の影響で研究に労務時間をほぼ割けない状況にあったため、当初計画からは大幅に研究の進捗は遅延している。2023年度は上述の(i)、(ii)の進展があったが研究への労務配分は引き続き厳しい状況にあった。2024年度は特例による延長は最後となるため、シミュレーションデータのとりまとめを行い、また、数値繰込群による素因数分解における計算量を決定づける要素を高い確度で特定するところまでは到達したい。
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今後の研究の推進方策 |
延長期間も最後となったため、成果のとりまとめに重点をおいて次のように進める予定である。まず研究実績の概要で述べた(i)のpost-conference会議録論文は2024年度に出版される見込みである。同(ii)の内容については、開発してきた計算ライブラリの他の機能の進展と合わせて論文にまとめ、年度前半のうちに学術誌に投稿する。これには、量子素因数分解を除く典型的な量子アルゴリズムのシミュレーションの蓄積データから得られた知見も記述する予定である。また、量子素因数分解のシミュレーションデータの蓄積も進んでおり、年度前半に素因数分解の数値解法としてみたときの計算量を決定する因子を特定する。その上で計算量の上限下限の見積りを提示したい。この結果については年度後半にプレプリントの執筆を行い、年度末までに学術誌への投稿を目指す。なお、備考欄に記している計算ライブラリの更新の頻度を上げ、ユーザードキュメントの充実も図る。学術的ではない純粋に技術的な内容はドキュメントあるいは技術報告に残すことにする。
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