研究課題/領域番号 |
18K11509
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61060:感性情報学関連
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
舟橋 厚 日本体育大学, 体育学部, 教授 (10190125)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 自閉症スペクトラム障害児 / 共感的行動の発達 / 笑顔 / 表情識別インターフェース / オキシトシン濃度 / 定量的測定 / アイコンタクト / 笑顔とアイコンタクトの同期 / 表情識別インタフェース / 自閉症スぺクトラム障がい児 |
研究実績の概要 |
セラピー犬を用いた動物介在活動・療法を自閉症児に対して実施すると、笑顔の増加や社会的にポジテイブな行動の増加が認められることを我々の笑顔識別インタフェースによる定量的解析で10年間にわたり、明らかにしてきた。最近、犬と飼い主が見つめ合うと双方に脳内オキシトシンの分泌量が増えることが他の研究者が明らかにした。そこで本研究では、犬と触れあうことで笑顔量が増えた自閉症児ではこの脳内オキシトシン濃度がどのように変化するかを自閉症児 とセラピー犬のふれあい(動物介在療法セッション)に着目して継続的に解析した。自閉症児の笑顔や社会的にポジテイブな行動が増加した場合にオキシトシンの尿中濃度がどのように変化するかを自閉症児および対照児に対して動物介在療法のセッションを体験させた前後の行動観察および尿中オキシトシンにより検討した。10名の自閉症児と10名の対象児(定型発達児)(年齢は平均12.5歳)が個別セッションによる動物介在療法セッションに参加した。両群を比較検討したところ、犬と触れ合う際の笑顔やポジテイブな社会的行動の増加量については、セッションを重ねると普通児の方が自閉症児より、これらの指標に関して、多量に表出した。一方、オキシトシン濃度の変化については、本実験に参加した児童おのおのについてセッション前後に尿を採取をして、オキシトシン抗体を用いて、生化学的検定により、変化量を解析した。尿中オキシトシン濃度の変化についても、動物介在療法セッション後にオキシトシン濃度が増加する人数は、普通児の方が自閉症児よりも多いことが観察された。ただ、自閉症児の中でも笑顔の増加や社会的にポジテイブな行動がセッションを重ねるにつれて非常に増加したケースが3名観察され、これらの3名についてはオキシトシン濃度が普通児と同様に動物介在療法セッション後に増加する傾向がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画はおおむね順調に進展している。途中、国内でも新型コロナ感染症の蔓延が起きたが、すべてのドッグセッションは新型コロナ感染症による非常事態宣言の前に完了していたので、データ採取に関する遅れは幸いなく、その後のデータ解析による研究展開ができている。今後は動物介在活動を本実験設定で実施した自閉症児および対照児童か ら得た行動データの解析と尿内オキシトシン濃度の生化学的検定を継続して、データ解析の完成を目指す。ただ、オキシトシンの生化学的解析については、担当研究者が研究環境を不当に剥奪されるという大変残念な事態が発生した。このため、生化学データの解析が少し延滞気味であるが、彼の研究環境の改善がスムーズに成就して、生化学的な解析が完了することを祈念する。
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今後の研究の推進方策 |
昨年から新しい追加研究を立案して遂行準備に入った。具体的には自閉症児の笑顔増加やセラピードッグと自閉症児が見つめ合う時間量とオキシトシン濃度の変化の関係を、より詳しく解析するために、今までの研究参加自閉症児の中で、笑顔や社会的にポジテイブな行動および犬と見つめ合う行動を多発させた児童3名について、さらに、追加のセッションを実施して動物介在療法を継続することにより、笑顔や犬の顔部分をつめる行動量変化とオキシトシン量の変化の関連性をさらに検討する追加実験を計画した。 ただ、大変残念なことに、新型コロナ感染症が落ち着いてきているとはいえ、自閉症児の参加児童および保護者の方から、なかなか研究参加の承諾が得られない場合が多く、苦戦をしているのが現状である。ただ、参加者本人および保護者の方からの承諾が得られ次第、研究実施が可能となれるように機材やセラピードッグをスタンバイして準備をしている。
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