研究課題
基盤研究(C)
本研究では、里山の代表的な樹種であるコナラを対象として、土壌の窒素利用性と葉の形質の関係を調査し、樹木生理生態学の視点から森林の窒素飽和の指標を提供することを目的とする。土壌の窒素利用性が異なる6地点に生育するコナラから葉を採取し、その形質を調べた。その結果、土壌の窒素利用性の高い調査サイトにおいて、一次代謝産物と二次代謝産物の濃度は低い傾向を示した。以上より、葉の成分はコナラ林の窒素飽和の進行度合いを推測する指標として利用できると考えられた。
窒素飽和は森林の健全性を損ねる重要な環境問題の一つであるが、その評価は森林生態系への窒素のインプットとアウトプットを長期間モニタリングすることによって評価されてきた。本研究によってコナラの葉における一次代謝産物や二次代謝産物が、土壌の窒素利用性の違いを反映することが明らかになった。それによって、森林の窒素飽和の進行状況をより簡便に評価できる指標を入手できたと考えられる。
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