研究課題/領域番号 |
18K11799
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
国宗 浩三 関西学院大学, 国際学部, 教授 (50450490)
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研究分担者 |
久保 公二 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (00450528)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2018年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ミャンマー / 中国元の国際化 / 外国為替管理制度改革の後退 / 裁定取引 / インフォーマル送金 / 人民元の国際化 / 外国為替市場 / 中国元 / 中国の影響 |
研究実績の概要 |
中国に隣接するミャンマーでは、中国との貿易投資の一部が中国元で決済されている。ミャンマー企業が、中国国内に開いた銀行口座で中国企業と資金を受け払いし、さらにミャンマー企業のあいだでこのオフショア中国元を売買する市場を形成している。たとえば中国にコメを輸出するミャンマー企業は輸出代金を雲南省の銀行口座で受け取り、中国からバイクを輸入するミャンマー企業に口座残高を売る。こうした中国元の取引は、中国の規制上は国内取引だが、ミャンマーの外国為替規制上は非公式な外貨取引となる。この草の根レベルの「中国元の国際化」の規模がミャンマーの公式な外国為替市場と比べても見過ごせない水準にあると推定される。ミャンマーにおける非公式な中国元相場と公式な米ドル建て外国為替市場のつながりを、本研究は多面的に分析している。 2022年度の本研究の研究実績として、ミャンマーにおける「中国元の国際化」の拡大と外国為替管理制度改革の後退について考察した成果を国宗(2023)にまとめた。2021年2月にクーデタで政権を奪った軍政は、それまでの管理フロート制から離脱し、裁量的な規制を多用したため、非公式市場が広がり多重為替レート状態が進んだ。まず、外貨不足による減価基調のなか、2021年8月に公式外貨取引の参照レート変動幅にキャップがかけられ、同年12月からは公式参照レートが固定化されて、実勢レートとの乖離が拡がった。他方、外貨不足への対応として、軍政は輸入規制を逐次強め、2022年4月には外貨割当制限を始めたため、密輸に伴う非公式な外貨取引需要が増えた。同時に、輸出企業に課される公定レートでの外貨供出が実質的な輸出税となり、輸出不振とさらなる外貨不足につながっている。こうした状況が、2011年からの外国為替管理政策の改革前の構造に酷似していることを本研究は指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、非公式な外貨取引としての「中国元の国際化」、すなわちミャンマーにおけるオフショア中国元の取引が、ミャンマーの公式な米ドル相場に与える影響を考察するものである。まず、2010年から2019年にかけての約10年分の日次為替レートデータを用いて、ミャンマーにおけるオフショア中国元と国内の米ドル為替相場の連動性を明らかにした。流動性の低い外国為替市場では売値と買値のスプレッドがショックに応じて変動していることに着目し、両相場間のショックの波及パターンを示した。分析の結果、特に2010年代中ごろから、ショックがもっぱらミャンマーにおける中国元相場から米ドル相場へと波及していることを確認した。 しかし、2021年2月のクーデタで樹立した軍政による裁量的な外国貿易・為替規制により、この分析の前提、すなわち、ミャンマーの公式な米ドル相場が外貨需給の価格シグナルとして機能しているという仮定が、成り立たなくなった。公式の参照為替レートは2021年12月から固定されている。したがって、本研究で当初想定していた、ミャンマーにおける非公式な中国元相場が公式な米ドル相場に与える影響の分析という枠組みに見直しが必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年2月のクーデタ以降、ミャンマーの外国為替管理制度の改革が大きく後退し、改革以前のような二重為替制度による価格の歪みと非公式外貨取引の広がりによる非効率性が懸念されるようになった。国宗(2023)では、世界銀行の報告書など入手可能な情報をもとに、こうした為替制度の問題点を整理したが、状況は流動的である。本研究では、2023年度にはミャンマーでの現地調査を実施して一次情報を入手し、非公式なオフショア中国元取引である「中国元の国際化」を含む、ミャンマーの為替市場の変化を明らかにすべく、定性的分析を継続する。
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