研究課題/領域番号 |
18K11845
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
斉藤 理 山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (50610408)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 観光まちづくり / 文化遺産 / 行動論 / プロトコル / 関係人口 / 観光 / まちづくり |
研究実績の概要 |
本研究は、人の行動論的分析を主軸に、空間認知論をも援用しながら、観光まちづくりプラン案出のプロセスをパタン・ランゲージ化させつつ、平易なプロトコル開発をめざすものである。昨年度までに研究計画の第1フェーズに位置づけられる事例把握・分析、第2フェーズに当たる関連するヒアリング調査さらにプロトコルの設計に注力してきた。具体的には:1)2019年度までに、国内外における観光まちづくりプロトコルモデルを分析し、そのうち欧州の事例について、その運用面で必要となる組織・手法などを実地に調査(ベルリン市文化財団Berliner Projektfonds Kulturelle Bildungほか)。 2)ベルリン市の文化機関と協働し、文化遺産を活用した観光交流創出手法に関するワークショップを試行。地域住民およそ20名が参加し、数時間のうちに有効な結果を生み出すことができプロトコルの機能性を確認した。 3)国際学会(The IUAES Inter-Congress 2019, アダム・ミツキェヴィチ大学にて開催/並びにISAIA, 2022, オンライン開催など)にて本研究の途中経過報告を行い、広く各国の研究者との情報交換を通し、調査の方向性に関する適切な助言を得ることができた。 4)これらを踏まえ、第3フェーズ「プロトコルの実効性分析(歴史的街区3か所程度を対象にワークショップ形式でプロトコルモデルを試行)」へと移行する予定で準備を進めてきたが、感染症の問題から実施を延期し、2021年度においては規模を大幅に縮小したプリテストを行い、また2022年度は国内外の学会にて調査内容を発表し、海外研究者からも適切な示唆を得るとともに、新たに国外の歴史都市にて調査ができることとなった。 その他、英語ならびにドイツ語による書籍の刊行準備を進め、これらを総合し、最終年度におけるプロトコルの取りまとめを進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近年わが国の地域振興や観光促進等の動きの中で、各地域での観光まちづくりが盛んに試みられているものの、地域住民の「内発的な観光まちづくり活動」と行政施策等「上位計画」を有機的に連携させる媒体や手法(プロトコル)が不足しているため、実効性のある観光コンテンツの創出に結びつきにくいことが指摘されている。そこで、こうした関係要素を複合しつつ、観光まちづくりに関わる調査・立案がスムーズに遂行できるプロトコルの開発を進めている。とくに2019年度ベルリンで試行した「申請者独自の観光まちづくりプロトコルに基づくワークショップ」や、2021年度、感染症の問題から規模を大幅に縮小して実施した大学近隣の文化遺産(大正期の建造物)をコンテンツ対象と想定したプロトコルの試行を通して、同モデルの実効性、同システムを国内外においてもシームレスに展開できる可能性を見出すことができた。一方、これらの試行を通じ、「来訪者によるアクティビティ(行動)の多様性を確保する手法(あるいは拡張させる因子の特定)」が課題として浮かび上がり、この解明を進めている。具体的には、今年度これに関連した以下のような学術発表を進めた。 1)国内学会(日本国際文化学(神戸大学)、国際学会(ISAIA, International Symposium on Architectural Interchange, オンライン, 2022)において、この点に言及した発表を行い、研究者より有益な示唆を得た。 2)その他、国際学術会議(Symposium Urban-rural Migration, ベルリン日独センター, 2023)での招待講演を担当し、現在開発を進めている観光まちづくりプロトコルが、国外地域においても十分に実践可能で、またそうした社会的要請が高まっていることを確認できた。これを踏まえ、おおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に引き続き、これまでの「現状把握」・「プロトコルの設計に関わるフェーズ」から当初計画における「プロトコルの実効性分析のフェーズ」へと移行していく。プロトコルの運用方法論について検証すると共に、我が国のとりわけ文化遺産を活用した観光まちづくりの促進に、実効性をもって、かつ持続可能な形で寄与し得るよう「観光まちづくり・プロトコル」をまとめ、研究成果を総括する。具体的には当初の計画に即して以下の項目を進めていく。 1)国内外の歴史的街区を対象とした基礎調査の結果分析を進め、さらなる実地調査に最適であると考えられ、また2022年度の国際学会参加を通じ、関係機関の調査協力も得ることができたウィーン市にて、ワークショップ形式でプロトコルモデルを試行(独自の「動詞抽出調査法」を用いて)し、得られた「動詞リスト」をテキストマイニング法で体系化し、パタン・ランゲージ化を試みる(9月)。そのため2023年度前半においては、関連する資料の欧文化を至急進める。 2)2023年度前半にイタリアで予定されている国際学会にて関連の発表を行い、とくにプロトコルの水平展開の可能性について学術的情報交換を行う。 3)前年度までの調査結果を整理・二次的分析を進め、最終的に、実際にわが国の各自治体において、ひいては広く国際間において導入可能な、観光まちづくりプロトコルを体系的にまとめ、かつ必要なワークシート等も併せて提言する。また成果物として、観光まちづくりに関わる調査・立案がスムーズに遂行できる手引き書(計30のトピックス毎にワークショップ形式で観光まちづくり企画を立案できるテキスト)を完成させる。これを大学での教育内容(本学での授業「観光まちづくり論」「観光まちづくり演習」、あるいは社会人の観光人材養成講座等)に反映させ、人材育成プロセスにおける有効性を検証する。
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