研究課題/領域番号 |
18K12179
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
阿部 ふく子 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (30781520)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 哲学教育 / 倫理教育 / 哲学対話 / 哲学プラクティス / 倫理学教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、①主にアメリカとドイツの哲学・倫理学教育研究のうち特に主体性と対話の生成に関わる論点を取り上げ、それを理論・事例・方法論の面から体系的に考察すること、そして②学校や地域との連携により、①の研究で得られた内容の実践的適用を試み、既存の制度や状況を脱構築しつつ、「主体的・対話的で深い学び」を実現しうる哲学・倫理学教育のあり方を提示することである。 2022年度は、まず研究①に関して、日本倫理学会シンポジウムにて「哲学と対話のアイロニー」と題した発表をおこない、近代哲学における対話の否定的な側面にあえて注目することから、哲学と対話の実践を捉え直した。概要としては、まず近代の対話的思考に対するアドとブーバーの批判の論点を確認し、その上で、啓蒙思想における哲学者の語りのずれと転倒に注目したヘーゲル『精神現象学』(1807年)に立ち返り、弁証法的視野が必然的にそなえる「隔たり」ないし「ずれ」の構造について検討した。さらに、対話における哲学(者)の立ち位置としての「アイロニー」に目を向け、ソクラテスのアイロニーとヘーゲルの弁証法の接点と差異も見いだしつつ、対話行為と哲学の距離感について考察した。以上により、哲学と対話のアイロニカルな関係を現代の哲学教育の文脈に位置づけなおすことを目指した。 また研究①では前年度に引き続き、P4C研究者であるJ・M・Loneの「モラル・インパルス」を翻訳し、公開した。 研究②としては、前年度と同様、主として新潟県内の小・中学校、高校、地域と連携し、哲学対話を導入した道徳教育、課外授業、学級・学校・コミュニティ形成の可能性を実践的に模索した。本年度は特に、東京都の高校で哲学対話の放課後講座をおこない、フィールドワーク先を拡げることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に比べ、各方面での哲学対話実践の回数は増え、フィードバックも充実させることができた。他方で、哲学対話の分析のために新たに導入を開始した質的研究法の進捗にやや遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では最終的に、代表者の所属大学が中心となる哲学・倫理学教育の拠点形成を目指している。そのための体制づくりとして、学校、民間企業、市民との実質ある連携を確立してきた。この体制とこれまでの研究実績を基盤として、最終年度は拠点運営に力を入れ、具体的には哲学プラクティスに関する研究発表、意見交換、ワーク等を盛り込んだ定例研究会の立ち上げをおこなう。
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