研究課題/領域番号 |
18K12193
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
辻 麻衣子 上智大学, 文学研究科, 研究員 (40780094)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | カント / テーテンス / 心理主義 / 認識論 / 構想力 / 新カント派 |
研究成果の概要 |
本研究の成果は、主に以下の3点に集約される。1)『批判』演繹論の書き換え問題とその目的:カントが第1版でもくろんでいた、人間の認識諸能力内部におけるメカニズムの解明が第2版においても保存されており、その意味で第2版演繹論の目標は心理主義的議論の補強にあったのだということを示すことができた。2)テーテンスによる認識能力論の整理:テーテンスの認識能力体系の中で「想像力」「創作力」という能力が重要な位置を占めることが明らかになった。3)上記2)で着目したテーテンスの想像力、創作力という両能力の内実および両者の関係が、第1版演繹論でカントが示した「三重の総合」という着想に影響を与えていることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果がもつ学術的意義は、カントの認識論を「心理主義」という側面から見直し『純粋理性批判』超越論的演繹論の二つの版を比較検討することで、このテクストが当時受けた批判が、カント自身の目論見および意図に対応しない的外れなものであったこと、また、ここには同時代の哲学者であるテーテンスのきわめて心理主義的な能力論がその背景として影響しており、両版の違いもテーテンス、あるいは心理主義との距離をどのように取るかという観点の違いに帰しうることを示した点にある。また、これを通じて、18世紀後半のドイツ哲学における心理主義のありようについて、その一端を明らかにすることができた点も意義深いものである。
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