研究課題/領域番号 |
18K12251
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 神奈川県立歴史博物館 |
研究代表者 |
橋本 遼太 神奈川県立歴史博物館, 学芸部, 学芸員 (20782840)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 鎌倉 / 禅 / 肖像 / 詩画軸 / 肖像画 / 絵巻 / 時宗 / 十王 / 禅律 / 美術史 |
研究実績の概要 |
令和4年度(2022年度)は、依然として新型コロナウイルス感染症が続いたことに加え、本務の業務量が多く、研究対象作品の調査が思うようには進まなかった。 そのなか、研究代表者が担当を務める特別展「あこがれの祥啓―啓書記の幻影と実像―」の準備過程で、神奈川県内の寺院において、伝十三仏図(四仏図)を見いだしたことは特筆すべき事柄である。この四仏図は、現状で四幅一組の仏画で、持物などの特徴から判断して、各幅に薬師如来、釈迦如来、阿弥陀如来、弥勒如来を描くものである。各尊像の顔貌描写は丁寧で、また衣文線は流麗に引かれており、小ぶりの画面ながら堂々たる風格を備える作例である。制作年代は室町時代前期と推定される。 各幅の中段右端に「常陽真康十九歳筆」と款記があり、これに「意足道人」朱文長方印と「真康」白文重郭方印の二印を縦に並べて捺す。この時期に活躍した絵師で「真康」といえば、近世の画史画伝類において建長寺西来庵で活動した画僧と説かれる仲安真康が想起されるが、前述の衣文線の描写などは、落款を記した真康が、仲安真康その人であることを示すものといえる。仲安真康の出身地や伝歴などが不明であるなか、この四仏図に施される落款は重要である。落款の冒頭に記される「常陽」の二文字は、真康が常陽すなわち常陸国に所縁を有する者であることを表明しているからである。 さらに仲安真康については、代表作と目される虎渓三笑図(細見美術館)と富嶽図(根津美術館)の図像に、京都東福寺周辺で制作された詩画軸虎渓三笑図(正木美術館)との類似が認められる可能性を想定した。仲安真康が鎌倉地域だけではなく、他の地域に関連する図像を目にしていたこと、すなわち、本研究課題で解明を目指す、絵師と図像の地域間の移動を示す一事例と位置づけることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
所属機関における他の本務の業務量が多く、本研究課題に取り組む時間が十分に確保できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染状況等を見極めつつ、調査の許可が得られた作品を中心に作品調査を進める。
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