研究課題/領域番号 |
18K12341
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
梅澤 礼 富山大学, 学術研究部人文科学系, 准教授 (50748978)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | マロ / 精神病 / 犯罪 / 社会 / 近代 / 文明 / 原始 / 光と闇 / 原始人 / 考古学 / フランス文学 / エクトール・マロ / 精神医学 / 狂気 / 児童文学 / 文学 / 犯罪学 / フランス |
研究成果の概要 |
本研究は、児童文学作家として知られるエクトール・マロの社会派小説に注目したものである。『義弟』と『シャルロットの夫』は、強制入院制度を批判すべくマロが発表した小説である。そこでは理性を体現する光と狂気を表す闇が交錯し、「明晰なる狂気」と呼ばれる病が文学的に描かれている。またマロは実在の事件から着想した『クロード医師』『良心』『正義』のほか、『ジュリエットの結婚』と『義母』で犯罪を取り上げている。そこでは犯罪者は闇や未開の比喩で描かれ、近代司法の光に容赦なく追い詰められている。二極化した世界での少数派の苦しみに独自の光を当てられていること、それがマロの社会派小説の特徴であることを本研究は示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、『家なき子』や『ペリーヌ物語』といった児童文学で知られるエクトール・マロの、社会派作家としての側面に光を当てたものである。マロの社会派小説にふれた歴史研究はすでにフランスに存在するが、本格的な文学的分析をこころみたのは本研究が世界的にも初めてである。マロの作風だけでなく、19世紀後半の文学と精神医学の知られざる関係をも明らかにした本研究の成果は、同時代に精神病を描いたゾラやモーパッサンなどの研究にも活かされるだろう。研究期間中にはスイスの研究者を招いて国際ワークショップも行ない、両国の学術交流に貢献した。また研究成果は論文以外に雑誌連載の形でも掲載され、広く一般に公開された。
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