研究課題/領域番号 |
18K12355
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
黄 イク 国文学研究資料館, 研究部, 特任助教 (10814808)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 夷堅志 / 太平広記 / 夷堅志和解 / 動物説話 / 自然観 / 瘟疫鬼神 / 行疫 / 怪異 / 疫病鬼神 / 類書 / 医書 / 疫鬼 / 逐疫 / 殺生 |
研究成果の概要 |
本研究は中国南宋時代の志怪小説集『夷堅志』に見られる動物関連の説話を選出し分析した上、北宋までの説話を集めた官撰小説集『太平広記』の動物説話と比較研究を行うことで、『夷堅志』説話の世俗的な特徴を確認し、宋代以前の志怪小説に見られる、いわゆる「物老為怪」型説話の減少は、人間と怪異の均衡が崩れ、人間の力が怪異の力に及ばなくなってきたことの表明であると指摘した。さらに、『夷堅志』に見られる疫病鬼神に関する説話が明代の類書や『夷堅志』の和訳本『夷堅志和解』を通して、江戸時代の文学、医学関連資料および民間信仰などに広く影響を与えた事例を考察し、日本における『夷堅志』説話受容の一様相を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は『夷堅志』動物説話の抽出・整理作業を行い、動物観・自然観という文化史的視点を導入し、比較説話学の方法を用いて日本における本書の受容を考察したことを通して、中国の知識が日本に伝わり、日本化する多層的な過程を例示した。特に、『夷堅志』説話の世俗性と怪異性をめぐって、人間と怪異の力の消長という視点で捉え直すことで、六朝期から宋代までの生物に対する認識の変化を読み取ることができる。また、本書に記録された疫病鬼神の描写を分析することは、当時の人々が行った疫病流行中の不可解・不条理な現象に対する解釈の心理の究明につながり、パンデミックに直面している現代社会に先人の知恵と教訓を提供することができる。
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