研究課題/領域番号 |
18K12494
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 日本大学 (2021-2023) 弘前大学 (2018-2020) |
研究代表者 |
武井 紀子 日本大学, 文理学部, 教授 (30736905)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 日本史 / 古代史 / 律令制 / 日唐律令比較 / 律令財政 / 出土文字資料 / 租税制度 / 律令比較研究 / 古代財政史 / 倉庫令 / 律令財政制度 / 木簡 / 東アジア / 地方官衙財政 |
研究実績の概要 |
昨年度までは、古代日本の律令財政について、倉庫令・賦役令を中心とする日唐律令条文の比較検討を中心に検討を進めてきた。律令の規定は、七世紀以前のあり方を前提としつつも、制度としての大枠は八世紀に展開したものであったといえる。これらの作業を進めるに当たり、律令財政の特徴を解き明かすためには、租税徴収の具体的仕組みがどのようにできあがってきたのか、その形成過程を明らかにする必要があると考えるにいたった。 そこで本年度は、まず、これまで膨大な研究史を持つ日本の古代国家の形成過程についてまとめ、その上で、特に七世紀後半における人身支配の確立過程と、律令制的な租税制度の成立について考察することに注力した。租税徴収にかかる律令規定については、以前に論文として発表していたが(「唐日律令財政におけるボウ示」大津透編『日本古代律令制と中国文明』山川出版社、2020年、「日唐律令制における租税の受納手続」古瀬奈津子編『古代日本の政治と制度』同成社、2021年)、そのとき十分に論じきれなかった宮都木簡や地方官衙出土の貢進物付札の機能について、考察を加えた。 また、官衙における租税収取の実態的あり方を探るために、貴族の家政機関や荘園における収取についても検討範囲を広げた。荘園遺跡における貢進物収取の仕組みや、付札と帳簿との関連を中心に考察し、在地の交通体系と官衙・荘園の立地関係なども踏まえ、古代における収取技術の特徴について明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までの研究計画を見直し、律令財政関連の書籍および史料の蒐集・整理に注力することに切り替えた。また、日本の古代国家の構造的な特徴についての研究整理を行い、国家形成の過程の中で財政制度がいかに確立したか、という観点を考える糸口を得ることができた。個別論文の発表という面では遅れているが、執筆も進めており、概ね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは、律令規定や租税制の仕組みなど、律令財政の成立期における特徴を捉えることに重点をおいて研究してきた。令和6年度は、八世紀半ば以降の財政制度の展開過程に重点を移して行く必要がある。特に、大宝律令以降の地方財政の確立とその展開について、地方財政における国司の権限・義務についてを中心に考察を深めていくことにする。地方財政における国司のあり方については、かつて倉庫令文の検討をもとに論文を発表したが、その後、新たな研究成果がいくつか発表されている。それらを受けての再検討を試みる。その上で、これまでの知見をまとめ、引き続き、研究全体の総括として、論文・著書の執筆と公刊を目指す。
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