研究課題/領域番号 |
18K12537
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高津 智子 九州大学, 人文科学研究院, 専門研究員 (00807191)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 冷戦 / ヨーロッパ統合 / 欧州統合 / 西洋史 / アメリカ / ヨーロッパ統合史 / 米欧関係 / 現代史 |
研究実績の概要 |
本研究は、アメリカとソ連の対立が露呈化し冷戦構造が確立されていった第二次世界大戦後から1960年代初頭における、アメリカのヨーロッパ統合研究の誕生と発展のプロセスを、米欧間の人的・知的交流の視点から分析するものである。 今年度は、そもそもなぜ冷戦初期のアメリカにおいてヨーロッパ統合に関する研究が必要とされ、組織化されたのかという視点から研究を行った。アメリカにおけるヨーロッパ統合研究は、ヨーロッパ統合推進の父とされるクーデンホーフ=カレルギ―伯爵が第二次世界大戦中にアメリカに亡命した際、彼を中心にニューヨーク大学で急速に進められていった。 第二次世界大戦が終結し、アメリカの脅威としてソ連が台頭して冷戦が新たにはじまると、理念的なレベルで知識人を中心に支持されていたヨーロッパ統合研究は、反共政策に利するものとして、政治的なレベルでインテリジェンス・コミュニティや政策立案者らを中心にその必要性が認識され、重要視されるようになる。 具体的には、第一に反共ブロックとして西欧諸国が結束するためにヨーロッパ統合が必要であると考えられたこと、第二にヨーロッパ統合を具現化・制度化することで西ヨーロッパにおけるアメリカの軍事的・経済的な負担を軽減すること、第三に「近代化」の観点からアメリカ的な政体・経済システムをモデルとして西ヨーロッパ諸国を再建することが理想視されたことが、アメリカにおけるヨーロッパ統合研究の発展の重要な推進力となったことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画にもとづき、着実に研究課題を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
アメリカにおけるヨーロッパ統合研究の中心にあり政府との強いパイプをもったのが、ハーヴァード大学教授のロバート・ボウイ(R. Bowie)である。ボウイは、後に国務省の政策立案部門の責任者となり、冷戦初期のアメリカの対外政策立案の中核を担った。彼が主導したヨーロッパ統合研究の内実を明らかにすることが、今後の研究課題である。 このことは、アメリカにおける知識人の対外政策決定過程への影響力行使の一端を明らかにするとともに、主として国家アクターに焦点を当ててきた外交史研究の研究視角の問い直しにつながる。それは、国家と民間の関係(state-private relationship)に注目する近年の冷戦史研究にも大きく貢献する。
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