研究課題/領域番号 |
18K12540
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
長谷川 敬 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (90781055)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 古代ローマ / 峠 / アルプス山脈 / 季節労働 / 帝政ローマ前期 / 麓共同体 / ガリア / 地域社会 / 閉鎖性 |
研究成果の概要 |
本研究では、接続と断絶という対照的な二側面を併せ持つ峠の存在が近隣共同体に与える影響を、帝政ローマ前期のアルプス山脈西部の峠を事例として考察した。その結果、大サン・ベルナール峠、小サン・ベルナール峠、モンジュネーヴル峠それぞれの山麓共同体の間に興味深い相違点を検出するに至った。すなわち、他地点とは異なり、小サン・ベルナール峠のフランス側麓に位置する共同体では、史料的に高位公職者の存在が確認されない点である。その背景として、峠やその周辺の厳しい自然環境に加え、有力な近隣都市ウィエンナの住民や名望家との競合によって、当該共同体では、地方名望家層が経済的に脆弱であった可能性が明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回の研究の成果は、峠のメリットのみを重視する従来の研究に対し一石を投じるのみならず、領内に多くの山岳地帯を内包していたローマ帝国の社会や統治のあり方に関する新たな研究の地平を開くものともいえる。さらに、様々な交通インフラや通信手段の発達の結果、わが国では日常生活における地理的・地形的要素への意識が希薄となりがちであるが、本研究の成果は、時として発生する自然災害への対応や、とりわけ交通インフラが脆弱な山間部で進む過疎化の問題に対処するにあたり、歴史的な参照軸を提供するものといえる。
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