研究課題/領域番号 |
18K12660
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
東條 明徳 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (40734744)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 実行の着手 / 未遂犯論 / イタリア刑法 |
研究成果の概要 |
本研究開始当時は未遂犯論では次の理解が通説であった。未遂犯は既遂に至らなかったがその危険性があった場合を処罰対象とする。それゆえ、危険発生時点で処罰可能、危険が発生し得なかった場合は処罰不能である。前者を扱うのが実行の着手論、後者を扱うのが不能犯論で、両者は実質的に同一の議論である。 本研究は、実行の着手論と不能犯論の相互関係に関する上記の通説に疑問を持ち、歴史研究を踏まえた理論的考察によって、①両者が根本的に異なる議論であることを明らかにした。そのうえで、②実行の着手論は危険性の問題ではなく、規範違反性の問題であるとの理解を提示した。③その理解の下で、実行の着手に関する判断基準に検討を加えた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は実行の着手論における通説、すなわち、既遂結果発生の危険性が生じた時点が未遂犯の成立時点であるとの理解に、実は十分な理論的根拠がないことを明らかにした。加えて、裁判例の分析を通じ、通説は実務を十分に説明できないことも明らかにした。以上から通説には見直しが不可欠であることを指摘し、未遂犯の成立時点に関するあるべき考え方を新たに提示した。以上が主たる学術的成果である。そして、提示した考え方それ自体に加え、結論に至る過程で行った裁判例の分析も、今後裁判官が未遂犯の成否を判断する際に参考となる内容であると考えている。このような裁判実務にも有益な分析を提示し得たことが、本研究の社会的意義である。
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