研究課題/領域番号 |
18K13074
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
武井 哲郎 立命館大学, 経済学部, 准教授 (50637056)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | セーフティネット / 官民連携 / 複線化 / 教育的ニーズ / 一条校 / フリースクール / フル・インクルーシブ / 原学級保障 / 地域学校協働活動 / 開かれた学校 / 教育機会確保法 / 多機関連携 / 学習・生活支援事業 / 生活困窮世帯 / 社会福祉協議会 / 地域福祉 / 公費助成 / 脱落型不登校 / 公教育の複線化 / ネットワーク型ガバナンス / インクルーシブ教育 / オルタナティブ・スクール / 学校文化 / 一斉共同体主義 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、COVID-19の影響により当初予定していたフィールド・ワークは一部制限されることになったが、これまでにラポールを構築してきたフリースクールを対象にオンラインでのヒアリングを実施するなど、研究を途絶えさせないよう努めた。その結果、ネットワーク型ガバナンスの展開をめぐって大きく次の二つの知見を得るに至った。 一つは、社会や学校から排除されるリスクが高い子のセーフティネットを構築するための官民連携のあり方についてである。行政には、①事業性と包摂性のジレンマに直面しながらも自団体がとりこぼしているニーズに対して目配せをしているか、②居場所の質向上や地域に根ざしたネットワーキングなど組織内外の環境整備に努めているか、③制度変革に対する志向性を備えているか、といった観点から民間の教育事業者の「質」を見極め、財政支援を含む形での協働を模索していくことが求められる。他方で、民間の事業者が参入することによって公教育に「政治」が持ち込まれる可能性には注意しなければならないこと、すなわち官/民の境界のゆらぎは教育/政治の境界のゆらぎと地続きであることを指摘した。 もう一つは、教育の領域で「連携」を進める際の論点についてである。学校を中心に多職種連携を進めるにあたっては、心理や福祉に関する専門スタッフ(スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカー)がどこまで自律性・独立性を保てるのかという課題や、いわゆる「専門家」ばかりでないチームをどのように編成していけばよいのかという課題が存在することを、先行研究から抽出した。また、一条校の枠外にある地域組織や福祉機関との連携のあり方については、その手法を含め検討の余地が多く残されていることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響により当初予定していたフィールド・ワークは一部制限されることになったが、オンライン調査の活用により研究を進展させることはできた。とりわけ、社会や学校から排除されるリスクが高い子のセーフティネットを構築するための官民連携のあり方について検討を進めることができた点は、COVID-19の影響によるこれまでの研究の遅れを取り戻す意味を持つ。ただ、本研究課題が注目する「日本の学校文化へ及ぼす影響」に関する分析は、行政や学校を対象とした調査があまり行えなかったこともあって不十分なままにとどまったと言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19による移動や調査の制限が2023年度には緩和される見込みが立ったことから、不登校児童生徒支援をめぐる官/民の枠をこえたネットワークについて追加での事例調査を進める。フリースクールとの連携に乗り出す教育委員会が急速に増えつつあるなか、それが日本の学校文化にどのような影響を与えるのか(あるいは与えないのか)を明らかにすることで、本研究課題のまとめとしたい。
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