研究課題
若手研究
本研究は「『対話』を通じたアクティブ・ラーニングが、大学における『持続可能でレジリアントな社会を主体的に創造する市民』の育成につながる」という仮説に、実践を通じどのような可能性と課題が示されるかを問う試みとして開始した。その後、対象を学校教育や社会教育にも広げ、既存理念や先行実践を検討し、大学生を対象に「対話」を体験を通じて学ぶ教育プログラムを構築した。また、教育手段としての「対話」から、持続可能な社会を市民が創造する過程に求められる実践・文化としての「対話」に焦点を移しつつ、「対話の場」を担う実践者への聞き取りをもとに「対話の力」「対話を創造する力」を理論的に示した。
本研究は「持続可能でレジリアントな社会」の創造に不可欠な「対話」の教育に関する可能性と課題を一定程度明らかにし、社会を主体的に創造する「市民」を育む具体的な方策を示した。「持続可能性」「レジリアンス」は時に対立する解釈を許す曖昧な概念であり、対立を乗り越え未来像を具体化する過程は重要な学習の機会となり得るが、教育現場では異なる立場の衝突を避けるため対立が放置される、隠されるという事態が起きる。また、大学を含む教育の場に主体的な「市民」を育成する役割が期待され「アクティブ・ラーニング」が推進されるが、その具体像は定まっていない。本研究はこれらの課題を乗り越える現実的な可能性を示すものである。
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佐賀大学大学院学校教育学研究科紀要
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https://sachinl.wixsite.com/sachi-ninomiya-lim