研究課題
若手研究
近年オンラインゲームにおけるコミュニケーションの効果が注目されつつあるが,はたしてその効果は現実世界にまで波及するものであろうか。本研究では,オンラインゲームの一種であるmassively multiplayer online role-playing game(MMORPG)のプレイヤーが仮想世界内で集団問題解決能力を活用していることに着目し,現実および仮想世界で3時点のパネル調査を行い,ゲーム内での経験が現実世界に及ぼす影響を交差遅延効果モデルによって分析を行った。結果,ゲーム世界における集団問題解決能力が,現実世界の集団問題解決能力に対して有意な正の因果的影響を及ぼすことが示された。
近年,インターネット上の仮想世界での活動の価値について繰り返し議論が行われている。その中で,本研究は,インターネット上で複数人がリアルタイムに協同するオンラインゲーム(MMORPG)に焦点を当て,プレイヤー同士で行う高難度の集団問題解決活動が現実世界の集団問題解決能力の向上に及ぼす影響について検討を行った。その結果,仮想世界の集団問題解決能力が現実世界の集団問題解決能力にポジティブな影響を及ぼすことが示された。本研究は,これまで検討されてこなかったオンラインゲームプレイヤーの高難度の集団活動を対象にしたことで,仮想世界における活動の価値を議論する際に重要となる一つの知見を提供したと考える。
すべて 2019 2018
すべて 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)