研究課題/領域番号 |
18K13433
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
西本 美香 (反田美香) 関西学院大学, 理工学部, 助教 (00768012)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | WKB解 / 超幾何関数 / 超幾何微分方程式 / 完全WKB解析 / Borel総和法 / Stokes幾何 / Voros係数 / simple pole / Borel和 / Bessel関数 / Parametric Stokes現象 / 漸近解 / 変わり点 / モノドロミー行列 |
研究実績の概要 |
超幾何微分方程式における完全WKB解析の応用について研究を行った.特に2022年度に引き続きGaussの超幾何微分方程式に大きなパラメータを原点がsimple poleになるように導入した微分方程式において,Gaussの超幾何微分方程式の原点に展開をもつ基本解と原点で規格化したWKB解のBorel和の関係について下記の方法で結果を得た.ただし,simple poleを含む場合とは,変わり点と呼ばれる大きなパラメータを含む微分方程式に現れるある関数の零点と超幾何関数の特異点である原点の2点が合流する場合であり,今回は超幾何微分方程式の決定方程式の根が重根になる場合のことである. (1)大きなパラメータの導入が一般の場合についての解の関係を利用して形式的な上記の解の関係を求めた これまでの青木貴史氏,高橋甫宗氏,自身の共同研究の結果である大きなパラメータの導入が一般の場合のGaussの超幾何微分方程式の原点で展開をもつ基本解と変わり点で規格化したWKB解のBorel和の関係を利用し,一部証明はできていないが形式的な関係を得ることに成功した.このようにこれまでの結果を基とし今回の結果を得たため,超幾何微分方程式における完全WKB解析の応用といえる.また,WKB解のBorel和はパラメータを無限に飛ばしたときWKB解により漸近展開されることが知られているため,この関係を利用することによりパラメータを無限に飛ばしたときのGaussの超幾何微分方程式の原点に展開をもつ基本解のパラメータに関する漸近挙動も求めた.超幾何微分方程式の基本解のパラメータに関する漸近解析の先行結果は一部あるものの,今回の大きなパラメータの取り方の場合の結果は存在しない.そのため今回の結果は重要性があると考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
超幾何微分方程式における完全WKB解析の応用としてGaussの超幾何微分方程式に原点がsimple poleになるように超幾何微分方程式固有の3つのパラメータに大きなパラメータを導入した微分方程式について研究を行った.特に上記の条件の基,大きなパラメータを導入したGaussの超幾何微分方程式の原点に展開をもつ基本解と原点で規格化したWKB解のBorel和の関係について,下記の方法で一部証明はできていないが形式的な結果を得ることに成功している. 大きなパラメータの導入が一般の Gaussの超幾何微分方程式の固有パラメータの1つを,上記の条件になるようにある値(今回は1である.)に近づけたとき,これまでの青木貴史氏,高橋甫宗氏,自身の共同研究で得た結果である大きなパラメータの導入が一般の場合についてのGaussの超幾何微分方程式の原点で展開をもつ基本解と変わり点で規格化したWKB解のBorel和の関係の極限値が,上記の2つの解の関係であることを形式的ではあるが証明した.しかし,パラメータの導入が一般の場合のWKB解のBorel和の極限値が上記の条件の場合のWKB解のBorel和と整合しているかのどうかを証明できていない.そのため進歩状況はやや遅れているとした. また,様々な場所で行った発表や結果のみの査読なしの報告集(to submitted)の実績はあるものの上記の証明ができていないことから査読付きの論文を作成する予定であったができなかった.この点からも進歩状況はやや遅れているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き原点がsimple poleになるようにGaussの超幾何微分方程式固有の3つのパラメータに大きなパラメータを導入した微分方程式について研究を行う.特に下記の3点を行う予定である. (1)進歩状況にもあるように一部証明ができていないパラメータの導入が一般の場合のWKB解のBorel和の極限値が上記の条件の場合のWKB解のBorel和と整合しているかのどうかを証明を行う.WKB解については整合していることが分かっているので,Borel和についての評価を行う. (2)モノドロミー行列を利用しGaussの超幾何微分方程式の原点に展開をもつ基本解と原点で規格化したWKB解のBorel和の関係の定数倍を除く線形関係を求める.2023年に行った研究の別証明である.WKB解のBorel和はsimple poleの場合であってもVorosの接続公式と呼ばれるものを利用して原点に展開をもつモノドロミー行列が計算可能である.上記のモノドロミーと既存の結果であるGaussの超幾何微分方程式のモノドロミー行列を比較することにより定数倍を除くが上記の2つの解の関係式を求められると期待している. (3) 超幾何微分方程式の接続公式を利用してGaussの超幾何微分方程式の原点に展開をもつ基本解と原点で規格化したWKB解のBorel和の関係を求める.Gaussの既存の結果である解の接続公式と過去の高橋甫宗氏,自身の結果である特異点の1つである1に展開をもつGaussの標準解とWKB解のBorel和の関係を利用することにより得られる結果が2023年度に得た形式的な2つの解の関係式と整合しているかを証明するものである. 上記以外にも超幾何微分方程式における完全WKB解析の応用としてこれまでの結果を基に合流ホインの微分方程式についても完全WKB解析の立場から研究を行う予定である.
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