研究課題/領域番号 |
18K13521
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 京都大学 (2022) 国立研究開発法人海洋研究開発機構 (2018-2019) |
研究代表者 |
下林 俊典 京都大学, iPS細胞研究所, 准教授 (50787124)
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研究期間 (年度) |
2021-11-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 相転移 / 液晶 / 脂肪滴 / オルガネラ / ソフトマター |
研究開始時の研究の概要 |
細胞質には脂肪滴と呼ばれる中性脂質からなる脂質の粒子が存在する。脂肪滴は、細胞のエネルギーを貯蓄するだけでなく、タンパク分解や脂質合成などの場としての機能を持つことが分かってきている。下林らは細胞内脂肪滴において液体液晶相転移がみられることを見出し、その現象を定量的に解析することで脂肪滴の物理学的相状態を温度と脂質濃度の関数として評価できることを報告してきた(2019, PNAS)。本研究では、更にその相転移メカニズムを明らかにするため、脂肪滴内部構造の変化を可視化する新技術を開発する。
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研究成果の概要 |
脂肪滴はトリグリセリドとコレステリルエステル(SE)で主に構成され、これらはリン脂質の単層膜とタンパク質によって覆われています。SEが液晶の性質を持つにも関わらず、脂質の組成とその物理的な状態との関連性はまだ十分に理解されていません。本研究では、脂肪滴の細胞内相図を定量し、それがin vitroでの相図と定量的に一致することを明らかにしました。さらに、SEがほぼ生体に近い条件下で液体から液晶への相転移を引き起こすことを明らかにしました。さらに、拘束下での液晶理論を用いて、液晶化した脂質滴内での放射状の分子配列が、滴の表面でのアンカーリング力によって引き起こされることを明らかにしました。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
マクロファージで見られる脂質の異常蓄積は、動脈硬化の主要な要因とされています。マクロファージの脂肪滴で多いとされるコレステロールエステルが脂肪滴の相転移を誘導することを見出した本研究は、動脈硬化の予防や治療に向けた新たな戦略を模索する可能性を秘めており、その社会的意義も極めて大きいと言えます。今後より生体内に近い条件での脂質蓄積過程が解明されることが期待でき、その学術的価値はますます高まっていくものと考えられます。
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