研究課題/領域番号 |
18K13594
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 東京大学 (2020-2022) 国立天文台 (2018-2019) |
研究代表者 |
川島 朋尚 東京大学, 宇宙線研究所, 特任研究員 (90750464)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ブラックホール / 降着円盤 / 相対論的ジェット / 一般相対論的多波長輻射輸送計算 / ブラックホールシャドウ / X線偏光 / イベント・ホライズン・テレスコープ / 降着流 / 一般相対論的輻射輸送 / 高エネルギー宇宙物理 / 中性子星 / ブラックホール・シャドウ / 一般相対論的輻射輸送計算 / X線天文学 / 一般相対論 / 輻射輸送 / 偏光 |
研究実績の概要 |
代表者が開発している一般相対論的多波長輻射輸送コードRAIKOUをさらに発展させ、世界で初めてX線のブラックホールシャドウを計算可能にした。そしてコード論文を執筆し、Astrophysical Journalに受理された(Kawashima et al. 2023)。また、RAIKOUコードを用いて、銀河中心Sgr A*のブラックホールシャドウや多波長スペクトルを計算し、イベント・ホライズン・テレスコープによるSgr A*のシャドウ初観測論文の理論解釈に貢献した(EHT Collaboration 2022)。 上記の例は、非常に降着率が低い場合の降着円盤でなおかつ超大質量ブラックホール(太陽質量の100万倍を超えるような質量のブラックホール)に適用した実績である。RAIKOUコードを降着率が高くコンプトン散乱が支配的になる場合の計算にも適用し、恒星質量ブラックホール周囲の極めて広範囲な領域に広がった降着流モデルのX線スペクトル計算も実施し、新たな知見が得られた。 また、ブラックホール降着円盤やコロナから放出されるX線偏光を計算すべく、RAIKOUコードの拡張を行なった。具体的にはWalker-Penrose定数と呼ばれる座標不変量を用いて曲がった時空中における偏光ベクトル基底およびストークス・パラメータ(I,Q,U,V)の輸送計算モジュールを作成・実装した。Chandrasekahrによる平行平板からの偏光を含む放射や反射の解析解を用いた標準円盤からのX線偏光マップおよび偏光を含むスペクトルについてのテスト計算を実施し、先行研究(Schnittman & Krolik 2009, 2013)の結果を再現することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初めてX線シャドウへ適用も可能にした多波長の一般相対論的輻射輸送コードを開発し、論文が受理された。超大質量ブラックホールへの適用が順調に進んでいる。また、恒星質量ブラックホールへの適用や、偏光輻射輸送コードの開発も着実に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
偏光を考慮したコンプトン散乱計算モジュールを組み込み、偏光を含む一般相対論的多波長輻射輸送コードを完成させ、IXPEに代表されるX線偏光観測データと比較することでブラックホール周囲のプラズマの構造に迫る。また、引き続き多波長スペクトルとイメージの時間変動からブラックホールスピン値に制限を与える手法を構築していく。
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