研究課題
若手研究
本研究課題では、表面弾性波と呼ばれる物質表面を伝播する音波を用いて固体中の単一電子を移送し、その量子状態を制御する研究に取り組んだ。その結果、単一電子の移送効率を従来の90%程度から99%以上に向上させること、異なる単一電子源を同期させる技術の実証、単一飛行電子に対する方向性結合器操作の実証に成功した。また、理論による実験結果の詳細な解析から、表面弾性波の強度を3倍程度強化することにより、ビームスプリッタを実現できるという示唆を得た。これらの成果は、単一飛行電子に対する単発測定によって様々な量子電子光学実験を行うための重要な要素技術となる。
近年、いくつかの系で単一電子源が実現され、単一電子レベルで量子電子光学実験が行われ始めている。 その中で、本研究の表面弾性波を用いた手法は単一電子検出器も実装され、単発測定で実験が行えるという大きな特色を持つ。本研究の成果は、表面弾性波によって運ばれる単一飛行電子のコヒーレントな制御の実現に向けた重要な要素技術であり、単一飛行電子に対する単発測定によって非局所な量子もつれ状態の生成確認実験を行うなど、学術的に重要な実験に繋がるだけではなく、将来的には単一電子で動作する大規模な量子電子回路の実現に繋がり、量子情報処理の分野を通じて大きく社会に貢献していくものと考えられる。
すべて 2020 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)
Nature Communications
巻: 10 号: 1 ページ: 4557-4557
10.1038/s41467-019-12514-w
巻: 9 号: 1 ページ: 28111-6
10.1038/s41467-018-05203-7
130008146314