研究課題/領域番号 |
18K14205
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 公益財団法人乙卯研究所 |
研究代表者 |
黒内 寛明 公益財団法人乙卯研究所, その他部局等, 研究員(移行) (80814920)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 有機化学 / 物理化学 / 分子反応動力学 / 非平衡効果 / 余剰エネルギー / 物理有機化学 / 有機反応化学 / 計算化学 / 分子動力学 |
研究実績の概要 |
有機化学の反応速度を考察する上での根幹となっているカノニカル遷移状態理論は、反応する分子の持つエネルギーが溶媒と完全な熱平衡状態にあるという仮定のもとでのみ成り立つ。しかし発生直後の活性中間体は激しい振動状態(熱い分子)となっており、より高いエネルギー分布に偏っている。 その余剰の振動エネルギーが失われる前に次の反応が進行する場合、遷移状態理論が破綻するために従来の理論的枠組みでは選択性の予測・説明が困難である。また、遷移状態通過後のポテンシャルエネルギー曲面上の分岐過程に関しても、遷移状態通過に起因する特殊な運動状態が分岐方向を決定づける。当該年度の本研究では、昨年度までの進歩状況の項に書いた理由により、ノルボルネンへのトリフルオロ酢酸の付加反応の機構を引き続き精査している。本反応は重水素化された酸を用いると旧来の理論では説明できない生成物内の重水素分布を示す。本系においては、反応の途中で一時的に生成した中間体は余剰のエネルギーを有するとともに多数の分子種へと分岐するため、その解析によって化学反応理論の拡張を図った。現在、市販されていないノルボルネ ン誘導体を合成し、その反応性について実験・シミュレーションの双方から詳しい検討を行った。 その結果、予想外なことに、トリフルオロ酢酸がノルボルネン誘導体の炭素ー炭素二重結合をプロトン化するという現象自体が非常に複雑な酸の多量体構造を経由していることが明らかとなった。また、反応動力学シミュレーションによって一つの遷移状態がいくつもの生成物に対応する分岐経路をたどることが明らかになった。この結果をまとめて論文化し投稿している。
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