研究課題/領域番号 |
18K14763
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
山本 京祐 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (70636472)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 生態ー進化フィードバック / 間接効果 / 進化的軍拡競争 / 進化動態 / 生態-進化フィードバック / ミクロコズム / モデル系 / 捕食性細菌 / バクテリオファージ / 生態‐進化フィードバック |
研究実績の概要 |
2022年度は前年度に引き続き、被食者(大腸菌)、捕食者(Bdellovibrio bacteriovorus)、超捕食者(B. bacteriovorus感染性ウイルス)の3種を用いた二者および三者混合連続培養系による短期(5週間)、中期(10週間)進化実験で得られた各種進化株・集団について、生理学的・遺伝学的特徴づけを実施した。また、上記進化実験に加えて、被食者としてPseudomonas fluorescensを用いた長期(10ヶ月)進化実験についてもデータの解析に着手した。他グループで開発された捕食者B. bacteriovorusの簡易生菌数定量法(蛍光ベースの生育測定)を導入し、本研究の捕食性評価試験(タイムシフト実験)において実験条件の精緻な調整が可能になった。捕食者進化株の捕食性能を詳細に評価したところ、二者系で得られた進化株では最大でおよそ28%程度の捕食効率の増加が見られ、B. bacteriovorusの祖先型大腸菌に対する適応的な捕食性能向上を確認した。本捕食者進化株は共進化した大腸菌進化株に対しても同様の捕食効率を示したことから、捕食性能向上に対する大腸菌の適応進化(対抗進化)はみられなかった。その一方で、捕食性能が向上した捕食者進化株であっても、共進化した大腸菌進化株に対しては捕食効率が増加しないケースもみられ、共進化過程において被食者側の対抗進化も進行しうることが示された。一般的に微生物捕食に対する捕食耐性は進化しづらいとされているが、本結果は捕食耐性進化の一例を示している。その他、中期進化実験および長期進化実験サンプルの集団ゲノム解析に着手し、ゲノムシークエンスをおこなった。現在までに全サンプルのシークエンスデータを得るには至っていないが、順次リード取得・変異点解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中期・長期進化実験の集団ゲノム解析に着手することができた他、新規捕食者定量法の導入を達成したものの、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う各種対応により、短期および中期進化実験で得られた各種進化株の生理学的・遺伝学的キャラクタライズの実施状況は不十分であったため、進捗は「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に基づいて、短期・中期進化実験系の進化株および集団の生理学的(捕食性・捕食耐性)・遺伝学的(変異パターン)特徴づけを進めていく。個体群動態と進化動態との相関解析結果も合わせて解析することで、連鎖する被食-捕食関係において特徴的な進化動態とその遺伝学的背景の解析を進める。さらに、長期進化実験系で得られたデータの解析も合わせて実施し、より長いタイムスケールで群集・進化動態がどのように変化するか評価する。
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