研究課題/領域番号 |
18K14797
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
川津 一隆 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (20747547)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 複雑性-安定性関係 / 非線形時系列解析 / 力学系理論 / 長期時系列データ / マメゾウムシ実験系 / 魚類群集潜水観察 / 複雑系理論 |
研究実績の概要 |
生態系の複雑性-安定性関係の形成メカニズムを解明することは生態学だけでなく生物多様性維持の観点からも重要な課題である.しかしながら,非線形性を示す野外群集から複雑性と安定性を定量化することは従来の平衡群集観に基づく理論体系からは困難であった.この課題解決のために,本研究計画ではまず,1)系の安定性に大きく影響する種間相互作用の密度依存性を観測時系列データから推定する手法と,2)推定した密度依存性を仮想的に改変することで動態の安定性*1に与える影響を調べる手法を開発した.これらの手法を用いて,寄生蜂-マメゾウムシ実験*2のデータと,潜水観察による魚類群集データ*3の解析を行ったところ,1)実験個体群んでは,系の安定性を高めるスイッチング寄生様*4の相互作用が検出され,その効果は系を不安定化させる宿主間競争よりも強い,2)魚類群集では,系の安定化に働く密度依存性を持つ相互作用が卓越し,魚類群集の長期存続に寄与していることを明らかにした.また,本課題の手法を更に発展させ,ある特定の時系列に影響する各変数の非線形性を個別に調べることができる手法LMDr (Local Manifold Distance regression)*5を開発した. *1:時系列データの変動係数CVから計算される *2:近縁なヨツモンマメゾウムシ・アズキゾウムシと寄生蜂ゾウムシコマユコバチからなる(宿主間は強い拮抗的関係にあり2種だけだと必ず競争排除が起こる) *3:舞鶴湾で行われている月2回のトランセクト潜水観察 *4:個体数の多い宿主をより好んで寄生する行動 *5:局所重み付け線形回帰を発展させた非線形時系列予測法
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度までに本研究計画の一部を国際学術誌Ecology Letters, Population Ecology誌および3本の総説をBook Chapterとして出版した.また,研究本体に当たる論文を前年度まで取りまとめ,国際学術誌Communications BiologyおよびPNAS Nexusに投稿し査読プロセスまで進んだ.しかしながら,研究の重要性は認められたものの不受理となり,次の投稿先に向けてデータの再解析と投稿内容の大幅修正を行っている. また,LMDrを用いて湖水・海洋プランクトン生態系の動態に影響する各環境変数の非線形性を解析した論文を現在執筆中である.
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今後の研究の推進方策 |
今年度はデータの再解析と,投稿内容をより生態学にフォーカスした内容に改変し,インパクトの高いOA学術誌(Frontiers in Ecology and EvolutionまたはOikos誌)への投稿・出版を目指す.
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